六人の嘘つきな大学生

六人の嘘つきな大学生：謎の告発状と絡み合う大学生たちの運命

浅倉秋成による小説『六人の嘘つきな大学生』は、就職活動中の6人の大学生が、謎めいた告発状をきっかけに、予期せぬ出来事に巻き込まれていくサスペンスです。2021年3月2日にKADOKAWAから刊行され、その高い人気からオーディオブック、舞台、漫画、ラジオドラマ、そして2024年には映画化と、様々なメディアミックス展開を果たしています。

物語は大きく「就職試験」と「それから」の二部構成で、それぞれ異なる視点から描かれます。しかし、「就職試験」パートには「それから」の時期に行われた関係者へのインタビュー内容が織り込まれており、就職試験当時に起こった出来事の裏付けが取られる巧妙な構成になっています。

就職試験：告発状がもたらす衝撃

物語は、新宿駅前の大型商業施設「スピラリンクス」の最終面接から始まります。6人の大学生は、グループディスカッションを経て内定を勝ち取ることを期待していました。しかし、グループディスカッション開始直前、部屋に不審な封筒が発見されます。封筒の中には、6人それぞれ宛に、過去の不正行為を告発する内容の文書と、大学内での盗撮写真が入っていました。

告発の内容は、高校時代のいじめ、妊娠中絶、嘘のバイト経歴、高齢者詐欺への関与、未成年飲酒、家族の薬物依存など、衝撃的なものでした。さらに、盗撮写真の撮影日時が全て同じであること、同一のカメラで撮影されたことが判明し、アリバイの確認が行われます。しかし、唯一アリバイのない波多野祥吾が、未開封の封筒を手に、現場から姿を消します。

その後、人事部の監視カメラの録画から、封筒を置いた人物が特定されますが、封筒を用意した人物は最後まで明かされません。この謎は「それから」パートで、スピラリンクスの内定者による独自調査によって解き明かされていきます。

それから：真実への追求

「それから」パートでは、2019年に波多野祥吾が死亡したことが明らかになります。彼の遺品の中から、名指しされた封筒が見つかりました。生き残った内定者たちは、当時の関係者へのインタビューを通して、就職試験当時に起こった出来事を振り返り、封筒を用意した人物の特定へと近づいていきます。

登場人物：それぞれの背景と葛藤

物語には、個性豊かな6人の大学生が登場します。立教大学経済学部に所属する波多野祥吾、早稲田大学社会科学部の嶌衣織、慶應義塾大学総合政策学部の九賀蒼汰、明治大学国際日本学部の袴田亮、お茶の水女子大学国際文化学部の矢代つばさ、そして一橋大学社会学部の森久保公彦。それぞれ異なる大学、異なる専攻、そして異なる性格を持つ彼らは、告発状によって複雑に絡み合い、それぞれの過去と向き合わなければなりません。

メディアミックス展開

『六人の嘘つきな大学生』は、小説としての成功にとどまらず、多くのメディアミックス展開を見せています。オーディオブック版は木村良平による朗読で配信され、漫画版は『ヤングエース』で連載されました。さらに、NHK-FMの青春アドベンチャーでラジオドラマ化、そして2024年には、豪華キャストを迎え、映画も公開されました。これらの展開を通して、小説の世界観はより広く、多くの人々に届けられました。

受賞歴

数々の文学賞にもノミネートされ、高い評価を受けています。「第22回本格ミステリ大賞」候補、「第43回吉川英治[[文学新人賞]]」候補、「2022年本屋大賞」ノミネート、「ブランチBOOK大賞2021」大賞など、その人気と質の高さを証明する受賞歴を誇ります。

謎解き、サスペンス、そして人間ドラマが凝縮された『六人の嘘つきな大学生』。その魅力は、多くの読者、そして視聴者を魅了し続けています。

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