十角館の殺人

十角館の殺人：孤島に閉ざされた密室と、絡み合う過去

綾辻行人による長編推理小説『十角館の殺人』は、1987年の出版以来、日本ミステリー界に大きな衝撃を与えた作品です。シリーズ第一作目となる本作は、密室トリックと複雑に絡み合う過去の事件、そして予測不能な展開が魅力で、数々の賞に輝き、累計発行部数は150万部を超えるベストセラーとなっています。2024年にはHuluで実写ドラマ化もされ、再び注目を集めています。

物語の舞台：孤島と十角館

物語の舞台は大分県沖合の無人島、角島です。島には、半年前に凄惨な四重殺人事件が発生し全焼した「青屋敷跡」と、奇妙な十角形のデザインをした「十角館」と呼ばれる建物がたった一つ残されています。

1986年3月、K大学推理小説研究会の学生たちが、この十角館で1週間の合宿を行うことになります。彼らにとって、そこは推理の腕を試す絶好の場所であり、過去に起きた未解決事件の謎を解き明かす舞台となるのです。

複雑に絡み合う過去

合宿開始前、研究会メンバーや事件関係者には、研究会元会員である中村千織の不審な死を告発する怪文書が送りつけられていました。この怪文書が、物語全体を動かす重要な鍵となります。

1年前の中村千織の死、そして半年前の青屋敷での四重殺人事件。この2つの事件は、十角館での連続殺人事件と深く関わっており、その真相は、物語が進むにつれて徐々に明らかになっていきます。青屋敷の事件では、家主の中村青司とその妻、使用人夫婦の4人が殺害され、庭師の吉川誠一が行方不明となっていました。警察は吉川を犯人として捜査を打ち切りましたが、多くの謎が残されたままです。

十角館での連続殺人

合宿が始まると、研究会メンバーが次々と殺害されていきます。それぞれの殺害方法は異なり、密室と巧妙なトリックが用いられています。被害者の遺体には、何らかのメッセージが添えられており、残されたメンバーは犯人を探すため、推理を繰り返します。

犯行は島外からの犯行なのか、それともメンバー内部に犯人がいるのか？疑心暗鬼の中で、恐怖と緊張感が高まっていきます。メンバーたちは、過去の事件を手がかりに真相解明へと迫っていきますが、次第に予想外の事実が明らかになり、物語は思わぬ方向へと進んでいきます。

衝撃の結末と、解き明かされる真相

最終的に、十角館は火災に見舞われ、メンバーのほとんどが死亡したという知らせが本土に届きます。唯一生き残ったとされる人物は、一体誰なのでしょうか？そして、この連続殺人事件の真相、そして半年前の青屋敷での四重殺人事件の謎は、一体何だったのでしょうか？

犯人は誰なのか、そしてその動機は何なのか。物語のラストで明かされる衝撃の真相は、読者に忘れられない余韻を残します。

主要登場人物

物語には、個性豊かな登場人物たちが登場します。有名な推理作家にちなんだニックネームを持つ研究会メンバーや、過去と現在を繋ぐ重要な役割を果たす人物たち。それぞれの思惑と、絡み合う人間関係が、事件の複雑さをさらに深めています。

映像化

『十角館の殺人』は、その複雑なトリックと、映像化の難しさから、長らく映像化がされていませんでした。しかし、2024年には、ついにHuluで実写ドラマとして映像化され、多くの視聴者を魅了しました。ドラマ版では、原作の雰囲気を損なうことなく、巧みな演出と俳優陣の熱演によって、原作の世界観が見事に再現されています。

まとめ

『十角館の殺人』は、密室トリックの傑作であり、緻密な構成と予測不能な展開で、読者を最後まで飽きさせない、まさにミステリーの金字塔と言える作品です。一度読み始めたら、その謎解きから目が離せなくなることでしょう。多くの謎と、衝撃の結末が待ち受けているこの作品を、ぜひお楽しみください。

もう一度検索