原型

原型（げんけい、げんがた）

「原型」という言葉は、分野によって異なった意味で用いられることがありますが、共通して「何かを生み出すための基盤や出発点となる形、あるいは型」を指すことが多い言葉です。主に、以下の二つの主要な意味で使われます。

1. 立体物を製作する際の最初の型

この意味での「原型」は、「げんけい」「げんがた」の両方の読み方で使われます。主に、製造業、美術、工芸、ホビーなどの分野において、立体的な製品や作品を製作するプロセスの初期段階で作成される元となる型を指します。

目的: 原型は、その後の工程で複製を製作したり、量産するための鋳型（いがた）や金型（かながた）などを作るための土台となります。
作成方法: 粘土、石膏、木材、金属、あるいはデジタルデータなど、様々な素材や技術を用いて精密に作り込まれます。この原型が最終製品の形状や細部を決定づけるため、非常に重要な工程とされます。
用途: フィギュア、プラモデル、彫刻、工業製品の試作品など、多様な立体物の製造において不可欠なステップです。

この文脈での原型は、単なるデザインモデルや試作品とは異なり、次の生産段階へと移行するための「型」としての機能を持つ点が特徴です。

2. 洋裁における基本の型紙

この意味での「原型」は、「げんけい」と読まれるのが一般的です。洋服を製作する際に使用される型紙（パターン）の基礎となるものを指します。

目的: 個人の体型に合わせて作成される基本的なシルエットの型紙です。これを基に、様々なデザインやスタイルの服のパターンを展開していきます。
種類: 日本の洋裁教育やパターンメイキングで広く用いられているものとして、代表的な体系である「文化式原型」や「ドレメ式原型」などがあります。これらは、特定の採寸方法に基づき、人間の身体の寸法と体型を考慮して設計されています。
役割: 原型を用いることで、複雑なデザインの服でも、体型に合った美しいシルエットと快適な着心地を実現するための出発点となります。この基本型紙に、デザイン線やゆとり分などを加えて、実際に裁断・縫製するためのパターンが作られていくのです。

洋裁における原型は、パターンメイキングの基盤であり、個々の体型にフィットする服作りにおいて極めて重要な役割を果たします。

これらの二つの意味は、異なる分野で使われますが、いずれも後続の工程や活動のための「元となる形」であるという共通の概念を持っています。

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