君と彼女と彼女の恋。

『君と彼女と彼女の恋。』：純愛の二者択一、そして友情の物語

2013年 6月28日、ニトロプラスより発売された18禁恋愛アドベンチャーゲーム『君と彼女と彼女の恋。』は、略称「ととの」で親しまれる作品です。2010年の『アザナエル』以来、2年半ぶりのアダルトタイトルとして注目を集めました。

本作は、一般的な美少女ゲームに見られる多くの選択肢とルートという構造を避け、「オルタナティブADV」という独自のジャンルを打ち出しています。シナリオを担当した下倉バイオ氏は、従来の美少女ゲームにおける、複数のルートを全て攻略しなければならないという義務感を解消するため、ヒロインを2人に絞り込み、どちらかを選択するシンプルなストーリー構成を採用したと語っています。

プロデューサーのでじたろう氏は、「純愛」をテーマに掲げ、他の何よりも愛を優先するストーリーを目指したと説明しています。また、ゲームのパッケージは、小さな箱を開けるワクワク感を演出するため、USBメモリを採用するという工夫も凝らされています。初回限定版のUSBメモリ版は好評でロットアップし、その後DVD-ROM版も発売されました。

ストーリー：屋上で始まる、不思議な出会い

主人公の須々木心一は、平凡な学園生活を送る高校生です。ある日、学園の屋上で、不思議な少女・アオイに突然キスを迫られます。その場には、心一の幼馴染みである美雪が居合わせ、事態を収拾します。しかし、アオイはその後も不可解な言動を繰り返すため、心一は美雪の協力を得て、3人で友達関係を築き始めることになります。

アオイは、スマートフォン用美少女ゲームのヒロインに瓜二つで、現実世界をゲーム、自身を攻略対象だと信じており、「フラグ」「選択肢」といったゲーム用語を日常的に使用します。電波の届かないスマートフォンを空にかざして「神様」と交信を試みるなど、独特な行動パターンを見せています。

一方、美雪は文武両道の学園アイドルであり、演劇部所属。心一とは幼馴染みですが、現在は関係を隠しています。心一の前では、普段とは異なる一面を見せることもあります。3人は屋上で弁当を食べたりするなど、徐々に親密な関係を築いていきます。この友情と恋愛が交錯する物語が、『君と彼女と彼女の恋。』の大きな魅力となっています。

登場人物：個性豊かなキャラクターたち

主人公：須々木心一
目立たない存在として生活する高校生。人付き合いは苦手だが、お節介な一面も持つ。美化委員という立場から、学園屋上の鍵を持ち、そこで多くの時間を過ごしています。

ヒロイン：曽根美雪
心一の幼馴染みで、学園のアイドル。文武両道で容姿端麗。演劇部所属で、次回公演の主役も務める。

ヒロイン：向日アオイ
心一のクラスメイトで、「電波系」の少女。無表情で何を考えているかわかりづらく、ゲームのヒロインのような言動が目立つ。

サブキャラクター
美雪の後輩であるハル、心一の親友である雄太郎、アオイが拾った猫のエル、そしてアオイが交信を試みる「神様」など、個性豊かなサブキャラクターたちが物語を彩ります。

音楽：印象的な主題歌たち

オープニングテーマ「モノクロ」、挿入歌「永遠の終わりに」、エンディングテーマ「輝かしき日常」「星のメリーゴーランド」など、数々の印象的な楽曲が作品を盛り上げます。岩瀬敬吾、いとうかなこ、Swinging Popsicle、多田葵といった実力派アーティストが参加し、楽曲のクオリティも高いレベルを誇っています。

君と彼女と彼女の恋。