和泉宏隆

和泉 宏隆 (Hirotaka Izumi)

和泉宏隆（いずみ ひろたか、1958年9月28日 - 2021年4月26日）は、日本の著名なジャズ・フュージョンのピアニストであり、フュージョンバンドT-SQUAREの元キーボーディストです。東京都生まれで、慶應義塾高等学校を経て慶應義塾大学法学部で法律を学びました。大学在学生の頃にはジャズサークル「ライトミュージックソサエティ」に参加し、音楽活動を始めました。

1982年、彼はフュージョンバンド「THE SQUARE」（後にT-SQUAREへ改名）に加わり、アルバム『脚線美の誘惑』でデビューします。和泉は16年間にわたり、ピアノ、シンセサイザー、作曲やアレンジを担当し、バンドの音楽を形成する重要な役割を果たしました。代表曲「TRAVELERS」、「OMENS OF LOVE」、「宝島」、「EL MIRAGE」などは彼の手による作品です。彼の加入によって、バンドの音楽制作スタイルは大きく変化し、新たな構造を持ちながら音楽が創造されたと、初代リーダーの安藤正容は語っています。また、彼の作曲法はバンドの他のメンバーにも良い影響を与えました。

和泉はバンド在籍中からライブでのMCでもその存在感を発揮し、ユーモアを交えたトークでファンに親しまれていました。1988年には、初のソロアルバム『AMOSHE』を発表。1997年にはピアノソロアルバム『FORGOTTEN SAGA』がリリースされ、以後はアコースティックピアノに専念することになります。彼は2005年までに数枚のピアノソロアルバムを制作しました。

T-SQUAREを退団した後も、彼は元バンドメンバーとの関係を大切にし、ゲスト参加や楽曲提供を行いながら活躍していました。また、2007年にはベースの村上聖、ドラムスの板垣正美とのレギュラートリオを結成し、全国ツアーを行うなど精力的な音楽活動を続けました。2012年からは「The Water Colors」を結成し、ベースの鳥越啓介、ドラムスの石川雅春と共に活動を拡大していきました。

2017年には、T-SQUAREの元メンバーたちと共に「THE SQUARE Reunion」を発表し、ライブ活動を行いました。彼はまた、2019年には特別企画「コンプリート・ソロ・ピアノ・ワークス」を発表するなど、作品の再構築にも取り組みました。

しかし、2021年4月26日、急性心不全により62歳で急死しました。彼の突然の死は音楽業界に衝撃を与え、彼が所属していたT-SQUAREや彼の親しい友人たちによる追悼イベントが行われました。特に、T-SQUARE Reunionのメンバーとの企画や、彼の音楽作品の再評価が行われ、多くの人々が和泉を追悼しました。2022年には彼の友人である鳥山雄司によるトリビュートアルバム『Unforgotten Saga』もリリースされました。和泉宏隆の音楽は、今日も多くの人々に影響を与え続けています。

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