嗜好品

嗜好品とは

嗜好品とは、風味や味、摂取時の心身の高揚感など、味覚や臭覚を楽しむために飲食される食品・飲料のことです。これらの特徴として、栄養やエネルギー源としての役割は期待されておらず、病気の治療を目的としたものでもありません。しかし、私たちの生活に彩りを与え、心に良い影響をもたらし、人とのコミュニケーションを円滑にする効果があります。

嗜好品の歴史と定義

「嗜好品」という言葉は、1912年（大正元年）に森鷗外の小説で初めて使われたと言われています。しかし、中国には「嗜好品」というカテゴリーはなく、韓国語の「嗜好品」は日本語の借用語とされています。興味深いことに、1999年に日本で行われた国際シンポジウムでは、英語圏の研究者が「sikohin」という言葉を使用したという事例もあります。

嗜好品の特質

嗜好品は、一般的な食品や薬とは異なる以下の特徴を持っています。

栄養やエネルギー源を期待しない: 単に空腹を満たすためのものではなく、味や香りを楽しむことが主な目的です。
病気治療を期待しない: 薬のように病気を治すためのものではありません。
生命維持に不可欠ではない: なくても生命を維持できますが、あると生活が豊かになります。
心の満足感: 食べたり飲んだりすることで、精神的な満足感や高揚感を得られます。
コミュニケーションの円滑化: 人と人との交流を深めるきっかけになることがあります。
植物素材が多い: コーヒー豆、茶葉、カカオ豆など、植物由来のものが多く見られます。
習慣性・依存性: 心理的、薬理的なメカニズムにより、習慣になりやすく、物質への依存につながる可能性があります。

嗜好品は、依存形成作用の有無によって二つに分類されます。一つは、炭酸飲料やお菓子のように、向精神作用はないものの、味や香りによって心理的に習慣性を形成するもの。もう一つは、コーヒーやお茶、アルコールのように、味や香りによる習慣に加え、薬理学的な依存性も有するものです。

具体的な嗜好品

以下に嗜好品の例を挙げます。

食品と飲料:
酒
炭酸飲料、ガラナ飲料
コーヒー
茶
菓子
仁丹
非食品:
ハッカパイプ
マリファナ（利用は法律に抵触する場合あり）
カヴァ
ビンロウ
キンマ
グトゥカー
カート

議論の対象となる嗜好品

タバコは、日本たばこ産業が嗜好品であると主張している一方で、医学界からは依存症を引き起こすものとして問題視されています。また、噛みたばこのように口内で噛んだ後に吐き出すものも、2018年以降は嗜好品には分類されなくなっています。

このように、嗜好品には議論の余地があるものも存在します。

嗜好品と依存症

嗜好品の多くは、習慣性や依存性を持つ可能性があります。カフェイン中毒、ニコチン中毒、アルコール[[中毒]]などがその例です。これらの物質への依存は、健康に悪影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。

まとめ

嗜好品は、私たちの生活に潤いをもたらす一方で、依存性や健康への影響も考慮しなければならないものです。それぞれの嗜好品の特徴を理解し、適切に付き合っていくことが大切です。

参考文献

高田公理『なぜ「ただの水」が売れるのか 嗜好品の文化論』 PHP研究所
高田公理・栗田靖之・CDI『嗜好品の文化人類学』 講談社メチエ選書
嗜好品文化研究会+TASC+CDI『現代都市と嗜好品』 ドメス出版

関連項目

依存症、嗜癖
中毒症状
カフェイン中毒
ニコチン中毒
アルコール[[中毒]]

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