回覧板

回覧板とは

回覧板（かいらんばん）は、日本の地域社会において町内会やコミュニティが連絡文書を配布するための手段として広く用いられています。このシステムは、特に集落や町内における情報共有を円滑にし、住民同士のコミュニケーションを促進する役割を果たしています。

概要

回覧板は、告知事項や各種配布文書を挟んで順に回すことで、地域内の情報を住民に伝達します。基本的には、連絡文書は板にばね金具や用箋挟で挟んで固定され、集落や町内の各家庭に順番に回ります。これによって、全戸に重要な連絡事項が伝わり、地域の連携が保たれます。

回覧板に使われる材質の多くは、ビニールがコーティングされた板紙です。地域によっては、商店や施設の広告が含まれることもあります。回覧のルートはあらかじめ決められており、数日から一週間の間に巡回することが一般的です。文書の表紙の下部には、読み終えた家庭が押印や署名するためのマス目が設けられており、次の家庭に渡すシステムが存在することもあります。

回覧板に記載される内容は地域生活に密接に関連しており、町内会の催し物や防犯・防災情報、自治会の決定事項などが含まれます。また、新年度のごみ収集計画表など、実生活に役立つ情報も回覧されることがあります。このように、回覧板は地域のさまざまな情報源の役割を担っており、交番発行の警察広報や自治体から配布されるお知らせが同時に折り込まれることが多いです。

歴史

回覧板の起源として、日本において古くは言継ぎや掲示板が連絡手段として用いられていたことが挙げられます。1940年に内務省が府県に対して下部機構整備を通達したのを契機に、隣組などでの連絡手段として回覧板が広まりました。この年の8月16日からは、東京市において回覧板の配布が始まりました。

当初の回覧板は、縦9寸、横1尺1寸3分のチッソライト板が用いられ、表面にはベークライト製の紙ばさみと紫色のヒモの手提げが付いていました。裏面には回覧の順番を記入する欄が設けられ、組長からの通知を記入するためのスペースもありました。この通知は必要に応じて消去できるようになっていました。

2000年に発表された『自治会・町内会の高齢者支援に関する報告書』によると、80%以上の町内会が回覧板を主要な連絡手段として利用していることが示されています。これは、回覧板がいかに地域コミュニティにおいて重要な役割を果たしているかを物語っています。

まとめ

回覧板は日本の地域社会において、住民が情報を効果的に共有し、コミュニティの絆を深めるための大切な文書回覧の手段です。今後も地域の生活に密着した情報源としての役割を果たし続けることでしょう。

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