国際バカロレア

国際バカロレアの概要

国際バカロレア（International Baccalaureate, IB）は、1968年にスイスのジュネーブで設立された非営利団体であり、大学入学資格試験および教育プログラムを提供しています。IBは、国際的な環境にいる学生、特に外交官の子女が多様な国の大学入試制度に対応するために、均一な大学入学資格および成績証明書を提供することを目指して開発されました。このプログラムは、平和な社会を形成する人材の育成を理念としており、「全人教育」を重視しています。

IBでは、理想の学習者像として、探究心を持ち、知識を深め、論理的に考え、意思疎通ができる力を持つことが求められます。これに加えて、信念を持ち、オープンマインドで思いやりを持つこと、リスクを取り、バランスを意識し、自己反省できることも重視されています。

現在、国際バカロレアは159以上の国や地域に広がっており、約5600校で運営されています。その中で、日本には159校が認定されています。

教育プログラムのラインアップ

国際バカロレアは、3歳から19歳を対象にした一連の教育プログラムを提供しています。これには、以下の4つのプログラムが含まれます。
1. 初等教育課程（PYP）
2. 中年間教育課程（MYP）
3. 大学入学準備課程（DP）
4. キャリア関連プログラム（CP）

PYP（Primary Years Programme）

PYPは、3歳から12歳を対象としたプログラムであり、基本的な学力を育成することを目的としています。探求する人としての基礎を築くことが求められ、全6つのテーマに基づいた教科融合型教育が行われます。日本では19校で実施されています。

MYP（Middle Years Programme）

MYPは、11歳から16歳を対象とした5年間のプログラムであり、学生が実社会とのつながりを意識しながら学ぶことを目的としています。世界で1225校、日本では9校で実施されています。

DP（Diploma Programme）

DPは、16歳から19歳の学生を対象にし、大学入学に向けた準備を行います。生徒は科目を選び、最終的には世界共通試験を受けることになります。日本では26校がDPプログラムを提供しています。選択科目の評価が非常に重要で、合計点数に基づいてIBの修了資格が授与されます。

CP（Career-related Programme）

CPは、大学進学を希望しない学生を対象に、実務に関する知識と技能を育成します。故に、専門学校や就職を目指す生徒に適したプログラムです。

日本国内での影響

日本では、国際バカロレア認定校が増加しており、特に2013年以降、政府がグローバルな人材育成の一環としてその導入を進めてきました。日本語DP（デュアルランゲージプログラム）は、その中でも特に日本語での教授を重視しており、多言語での教育を受ける機会を広げています。

課題と今後の展望

国際バカロレアは多様な科目を扱い、高い評価を受けていますが、学生にとって授業内容の難易度や評価基準のバラつきが問題視されています。また、教員に対する専門的な教育や、教育資源の不均一さも課題として残ります。各学校によって授業の質が異なる可能性もあり、質の均一性が求められています。

今後も国際バカロレアの普及と正しい理解が進むことで、より多くの生徒がその恩恵を受けられることが期待されています。

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