国際ビジネスコミュニケーション協会

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会（IIBC）とは

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会（IIBC）は、国際コミュニケーションの促進を目的とし、TOEIC（Test of English for International Communication）という英語検定試験を実施している団体です。人と企業の国際化に貢献することを使命とし、様々な事業を展開しています。

目的と事業内容

IIBCは、国際社会における円滑なコミュニケーションを促進することを目的に設立されました。そのために、以下の事業を柱として活動しています。

TOEIC試験の実施・運営
英語教育・研修の支援
英語学習書の出版と学習サポート
英語教育に関する調査・研究
国際的な人材育成

歴史

IIBCの設立には、TIME誌の元社員であった北岡靖男氏の存在が大きく関わっています。北岡氏は、仕事を通じて日本人の英語能力不足を痛感し、退職後に英語教育を目的とした国際コミュニケーションズ社を設立しました。そして、スピーキングに重きを置いた新しい英語テストの実施を企画しました。

北岡氏は、元同僚で早稲田大学教授であった三枝幸夫氏から、アメリカの教育試験サービス（ETS）との連携を勧められました。ETSは、1947年に設立された英語テスト実施団体です。ETSに協力を打診したところ、ETSとの協働には非営利団体の受け皿が必要との回答がありました。

そこで北岡氏は、文部省（現在の文部科学省）に働きかけましたが、すでに英検を実施していた文部省は難色を示しました。その後、北岡氏は、元通産省官僚であった渡辺弥栄司氏に協力を依頼しました。渡辺氏は、世界経済情報サービス（WEIS）や日中経済協会の理事を務めていました。

渡辺氏は、世界経済情報サービス傘下に、元通産官僚や財界人ら23名をメンバーにしたTOEIC運営委員会を1979年に組織しました。公的支援を取り付けたことから、ETSは1977年にTOEICテストを開発し、1979年に第一回目の試験が実施されました。

しかし、当初は受験者数が伸び悩み、経済的に逼迫したため、委員会メンバーが所属する大企業（松下電器、富士通など）での試験実施を取り付けるなどして、1981年に2回目の試験を実施しました。1983年には、TOEICの普及を目的とした株式会社国際コミュニケーションズ・スクールと業務委託契約を締結しました。

1986年には受験者数が10万人を超え、渡辺氏を理事長・会長として、通産省管轄の財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が設立されました。その後、受験者数は年々増加し、1995年には長野オリンピックの語学ボランティアにTOEICテストが採用されるなど、年間受験者数は50万人に達し、2012年には230万人に達しました。

1989年から2008年まで、元理事長の渡辺氏が傾倒していた女性漢詩朗詠家・室伏寿冠氏の朗詠会を支援していました。また、渡辺氏が設立した社団法人ビューティフル エージング協会の法人会員でもありました。2009年には、不透明な人事や資金の流れが週刊誌で報道され、同年、渡辺氏は長年務めてきた理事長・会長の座を92歳で退任しました。

業務委託会社の脱税事件

2009年、TOEICの業務委託先であった国際コミュニケーションズ・スクール（ICS）が、2009年3月期までの数年間に1億円超の所得隠しをしていたとして、東京国税局から指摘を受けました。ICSは、IIBCからTOEICを企業や学校に普及させるための活動や試験実施窓口などの業務を受託していました。

国税局は、これらの業務に関して不適切な経費計上があったと指摘しましたが、IIBC側は「人的・資本的に関係なく、業務委託は今年3月末で終了した」とコメントしました。しかし、ICSとIIBCは同じビルの同じフロアにあり、IIBCの理事であった室伏貴之氏は2008年までICS社の理事も務めていました。ICSはE-Communications Inc.というオンライン企業も所有していました。

2009年2月には、IIBCを所管する経済産業省から「手元の資金量を示す内部留保の水準が高くなり過ぎる」との指導を受け、IIBCは同年9月より受験料を1割弱値下げしました。

関連項目

教育試験サービス（ETS）

外部リンク

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会
グローバル人材育成 - 同団体の人材育成事業

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