国際園芸博覧会

国際園芸博覧会（こくさいえんげいはくらんかい）

国際園芸博覧会とは、オランダのハーグに本部を置く国際園芸家協会（AIPH）によって公式に承認される、世界規模の園芸に関する博覧会です。この博覧会は、国際的な枠組みの中で園芸分野の生産者の経済的な利益を促進し、同時に園芸技術のさらなる向上を図ることを主な目的として開催されています。

分類

国際園芸博覧会は、その規模や国際性によっていくつかの種類に分類されています。大きく分けて、各国が公式に参加する国際的園芸博覧会（A類）と、国際的な要素を持ちつつも主に国内で開催される国際性のある国内園芸博覧会（B類）があります。

A類：国際的園芸博覧会

A類はさらに規模によって細分化されます。

A1認定 大規模国際園芸博覧会: 最も大規模な博覧会です。原則として年に1回まで開催可能で、同一国での開催は10年に1回という制限があります。会期は3ヶ月から6ヶ月未満と比較的長く、最低でも50ヘクタールの広大な会場と、10カ国以上の公式代表による参加が求められます。対象は園芸全般に及び、開催準備の状況をAIPHが派遣する調査委員が視察します。博覧会国際事務局（BIE）が認定した場合、「国際博覧会（EXPO）」と称することもでき、この場合は各博覧会間に2年以上の間隔を置くことが条件となります。
A2認定 小規模国際園芸博覧会: 会期は1週間から3週間と短めですが、最低6カ国以上の代表が参加します。
A3認定: 特定の専門分野に特化した小規模な国際園芸博覧会（専門展示会）です。

B類：国際性のある国内園芸博覧会

B類は国内で開催されますが、国際的な参加も受け入れています。

B1認定 長期、大規模国内園覧会: A1と同様に会期は3ヶ月から6ヶ月未満で、園芸全般を対象とします。国際的な参加も含まれます。
B2認定 短期・専門国内展示会: 会期は1週間から3週間で、特定の専門分野に焦点を当てた内容となります。こちらも国際的な参加があります。

歴史

国際園芸家協会（AIPH）は1948年にヨーロッパの園芸関係者によって設立されました。最初の国際園芸博覧会は、設立から12年後の1960年にオランダのロッテルダムで開催されました。以来、主にヨーロッパ各地で定期的に開催されるようになります。

アジア地域での初めての国際園芸博覧会は、1990年に日本の大阪市で開催された「国際花と緑の博覧会（花の万博）」でした。これはA1認定の博覧会であり、同時にBIEの特別博覧会としても承認されました。その後、アジアではフィリピン、1999年の中国・昆明、2000年の日本の兵庫県淡路島、2002年と2009年の韓国・安眠島、2004年の日本の静岡県浜名湖畔、2006年の中国・瀋陽やシンガポール、2006年から2007年にかけてのタイ・チェンマイ、2010年から2011年の台湾・台北、2013年の韓国・順天、そして2019年の中国・北京などで開催されており、開催地は多岐にわたります。

日本での開催

日本は1985年8月に社団法人日本造園建設業協会がAIPHに加盟したことを機に、国際園芸博覧会の招致活動を進めてきました。日本国内での開催においては、国土交通省と農林水産省が中心的な役割を担っています。

これまでに日本で開催された国際園芸博覧会は以下の通りです。

1990年 国際花と緑の博覧会（花の万博）: 大阪市で開催された、日本そしてアジアで初のA1認定博覧会です。BIEにも特別博として承認されました。
2000年 国際園芸・造園博「ジャパンフローラ2000（淡路花博）」: 兵庫県の淡路島で開催されました。これは小規模国際博覧会（A2）と大規模国内博覧会（B1）を組み合わせた形式でした。
2004年 しずおか国際園芸博覧会「パシフィックフローラ2004（浜名湖花博）」: 静岡県の浜名湖畔で開催されました。こちらも淡路花博と同様に、小規模国際博覧会（A2）と大規模国内博覧会（B1）の組み合わせ形式でした。

そして、今後の予定としては、2027年に神奈川県横浜市の旧上瀬谷通信施設跡地にて、A1認定の「2027横浜国際園芸博覧会（GREEN×EXPO 2027）」が開催される計画が進められています。

これらの開催を通じて、日本における園芸文化の振興や技術の普及に貢献しています。

もう一度検索