在宅ワーク

在宅ワークの基本概念

在宅ワーク、または在宅勤務は、主に自宅を仕事場とする働き方を指します。この形態は、テレワークの一種として位置づけられます。ひとつの重要な特徴として、在宅ワークは雇用関係の有無によって大きく分類できます。具体的には、雇用契約を結んでいる場合は、業務をノートパソコンを自宅に持ち帰って行ったり、出社せずに自宅で働く形態です。一方、雇用契約がない場合は、業務委託や請負といったスタイルの在宅ワークが一般的です。

特に、少人数の個人事業主が対応するSOHOとしての在宅ワークが挙げられます。SOHOは事業の運営スタイルを表しますが、在宅ワークはあくまで勤務のスタイルを示す用語です。このような働き方を実現するには、セキュリティの観点からシンクライアント端末を使用し、インターネットを介してデスクトップ仮想化（VDI）に接続することが一般的です。

日本における在宅ワークの歴史

日本では、1990年代末から2000年代初頭にかけて「在宅ワーク」という言葉が広まりました。当初は、対面での業務が優先視され、クリエイティブな職種に限定される事が多かったですが、2004年以降、ブロードバンドの普及や、2011年の東日本大震災の影響で在宅業務の重要性が見直されました。

また、交通機関の混雑を避けられることやエネルギー消費の削減、地方における雇用創出が期待されることから、大企業の多くでも在宅勤務の導入が進められています。特に、厚生労働省が発表したガイドラインや、関連サイト「ホームワーカーズウェブ」がその普及を後押ししています。

安倍政権下で子育て支援の観点からも在宅勤務が推奨され、2017年からは「テレワーク・デイ」を設け、2020年には新型コロナウイルスの影響により在宅ワークへの需要が飛躍的に増加しました。

コロナ禍における在宅勤務の変容

新型コロナウイルスの流行によって、以前からあった在宅勤務の導入が急激に進みました。コロナ前は、在宅勤務は主に仕事改革や地方活性化の手段として捉えられていましたが、2020年には混雑防止や感染防止のため、多くの企業がリモートワークを採用しました。特に、2020年7月の調査では、従業員の26%が通常時のテレワークを継続したいと回答しています。

在宅勤務のメリット

在宅勤務には多くの利点があります。何よりも、自由な時間に働けることが大きなメリットと言えるでしょう。また、人間関係からのストレスが軽減され、集中しやすい環境を実現できます。さらに、仕事の場と時間に制限が少ないため、遠方に住んでいる人や子育てや介護を行っている人でも働きやすい形になっています。

実際のところ、子育てママが多く在籍する企業も存在し、在宅勤務は業務効率や生産性を高める効果を持っています。対面での業務では意外な中断が多いのに対し、自宅での作業環境では中断が少ないため、業務効率が上がります。

在宅勤務のデメリット

一方、在宅勤務には注意が必要な点も残っています。従業員が仕事と私生活を区別しづらくなり、過度のストレスがかかることから「在宅うつ」という新たな問題が生じています。また、セキュリティ面でも、情報の外部流出リスクが高まり、コミュニケーション不全も起こりがちです。対面での交流が少なくなることで、社員同士のエンゲージメントが低下しやすく、承認欲求が満たされないことによってメンタルヘルスに影響が及ぶことも報告されています。

これらの点からも、在宅勤務にはメリットとデメリットが共存していることが明らかで、今後の課題としてそれぞれの業務環境や企業文化に応じた工夫が求められています。

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