地球防衛少女イコちゃん

地球防衛少女イコちゃんシリーズと地球防衛ガールズP9：特撮の系譜

河崎実監督は、1987年のオリジナルビデオ作品『地球防衛少女イコちゃん』で、独特の世界観と特撮技術を駆使した作品を発表しました。それから25年後、2011年にはリメイク作品である『地球防衛ガールズP9』が公開されるなど、長きにわたる人気を誇るシリーズとなっています。本稿では、ビデオ作品、テレビドラマ、映画、ゲーム、漫画など、多様な展開を見せた『地球防衛少女イコちゃん』シリーズと『地球防衛ガールズP9』について詳細に解説します。

ビデオシリーズ：イコちゃんの活躍

『地球防衛少女イコちゃん』は、宇宙大学の学生から不思議な道具「スーパーインカム」を手に入れた中学生、河井イコが、地球防衛組織LTDTの一員となり、宇宙人と戦う物語です。成田亨氏によるモンスターデザイン監修も話題となりました。1987年の第1作『地球防衛少女イコちゃん』では、イコがスーパーインカムの能力を使いこなし、様々な怪獣と戦います。続く1988年の第2作『地球防衛少女イコちゃん2 ルンナの秘密』では、後輩の菅河イコと、ライバルであるオーストラリア出身のエリート隊員白馬ルンナが登場。そして1990年の第3作『地球防衛少女イコちゃん3 大江戸大作戦』では、江戸時代にタイムスリップしたイコが、新たな敵と戦います。これらのビデオ作品は、低予算ながらも創意工夫に富んだ特撮と、個性豊かなキャラクターたちが魅力です。さらに、1995年には幼児向けの防犯教育ビデオも制作されています。

テレビドラマ：外伝作品

1992年には、関西テレビの番組『薔薇DOS』において、『進め!地球防衛少女隊』という外伝テレビドラマが放送されました。ビデオシリーズとは異なるキャラクターやストーリーが展開されています。

映画：21世紀型進化

『地球防衛ガールズP9』は、2011年に公開された特撮映画です。『地球防衛少女イコちゃん』シリーズから25年の構想期間を経て製作され、21世紀的な解釈でリメイクされました。キャッチコピーは「全人類の存亡を賭けた右往左往 3年ぶりに河崎実 解禁。」と、監督自身の意気込みが感じられます。渋谷シネクイントを皮切りに、大阪、名古屋でも公開され、4Dパートとして、P9隊員の出演者本人が日替わりで登場する演出も行われました。

ゲーム：UFO大作戦

1992年には、PC-9800シリーズ用ソフト『妄想特撮シリーズ 地球防衛少女イコちゃん UFO大作戦』が発売されました。アドベンチャーゲームとして制作され、漫画家・遊人氏によるメインビジュアルや、付属のVHSビデオなど、豪華な仕様が話題となりましたが、商業的には成功しませんでした。

漫画：あさりよしとおによるコミカライズ

ビデオ第2作の宣伝用として企画された漫画版は、あさりよしとお氏による作画で『月刊コミックコンプ』に連載されました。河崎実監督による設定とプロットをもとに、あさりよしとお氏独自の解釈を加え、ビデオシリーズとは異なる魅力を持つ作品に仕上がっています。昭和の特撮作品へのオマージュやパロディも散りばめられており、予備知識がなくても楽しめる、一話完結の物語が中心となっています。

まとめ：多様な展開

『地球防衛少女イコちゃん』シリーズは、ビデオ作品を皮切りに、テレビドラマ、映画、ゲーム、漫画など、多様なメディア展開が行われました。各作品はそれぞれ異なる魅力を持ちながらも、河崎実監督独特の世界観と、個性豊かなキャラクターたちが共通のテーマとなっています。低予算ながらも独自の特撮技術と、エンターテイメント性を追求した作品群は、現在でも多くのファンを魅了し続けています。 『地球防衛ガールズP9』は、その系譜を受け継ぎつつ、新たな展開を見せていると言えるでしょう。それぞれの作品が、特撮史において重要な位置を占めていることは間違いありません。

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