外国法事務弁護士

外国法事務弁護士について

外国法事務弁護士（がいこくほうじむべんごし）は、日本国内で外国の法律に基づく業務を扱うことが認められた外国弁護士のことを指します。この制度は、外国弁護士が法曹活動を行う際の特別措置法である外弁法に基づいており、日本弁護士連合会に登録を受けることが必要です。2016年12月現在、国内で413名が登録されています。

制度の目的と背景

外国法事務弁護士制度は、法律事務を行う際に必要な特定の条件を満たした外国弁護士が法務大臣の承認を受けて、日本での法律業務を行えるようにするためのものです。これにより、外国弁護士が日本の弁護士資格を持てない場合でも、外国の法律に関する案件を手掛けることができるようになり、非弁行為と見なされることもありません。ただし、取り扱いできる法律事務は、原則としてその弁護士の資格を取得した国の法律に関連したものでなければなりません。日本国内での訴訟などは職務として扱うことができません。これは、日本における外国法サービスの充実を図る上で合理的とされるためです。

この制度は、アメリカの影響を受けて成立したものであり、相互主義の観点から日本人弁護士によるアメリカでの業務も可能です。1992年には、アメリカで日本人弁護士が開設した初の法律事務所があります。外国法事務弁護士になるには、3年以上の実務経験が必要で、そのうち2年以上は海外での経験でなければなりません。最近では、法務省と日本弁護士連合会がこの条件を1年短縮することを提案しています。

制度の歴史的背景

1960年代以降、日本が経済的に成長し、国際的な経済交流が活発化していく中で、外国弁護士の受け入れが世界的な流れとして始まりました。1971年にはフランス、1974年にはニューヨーク州が外国弁護士の受け入れを解禁し、日本でもその流れを受け入れざるを得ない状況となりました。しかし、日本には外国弁護士を受け入れる制度的な枠組みがまだ整っておらず、これと関連する議論が続いていました。

1977年には、実際にアメリカの弁護士が日本で法律事務所を設立し活動を始める事件が起き、これが非弁行為であるのかという議論が巻き起こりました。そして1982年には、アメリカ側が貿易摩擦の一環としてこの問題を取り上げ、日本でも外国弁護士の受け入れに向けた動きが強まりました。最終的に、1986年に外弁法が成立し、1987年に施行されることとなりました。

当初の外弁法では、外国法事務弁護士が日本弁護士を雇用することは認められておらず、共同で事業を行うことも原則禁止されていました。しかし1994年の法改正により特定の条件下での共同事業が許可され、2003年には外国法事務弁護士と日本弁護士の相互雇用が認められるに至りました。

懲戒と監視機能

外国法事務弁護士の懲戒は、その弁護士の原資格国の法律に基づいて実施されますが、非行が発生した場合には、日本弁護士連合会が戒告や業務停止、退会、除名などの処分を行うことができます。一般の日本弁護士には日本弁護士懲戒委員会が、外国法事務弁護士には別の制度に基づいた懲戒委員会が設けられ、厳格な監視が行われています。

日本国内での外国法事務弁護士の活動は、適切な法的枠組みの下で行われ、これにより専門的な法律サービスがより充実することが期待されています。

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