多重露光

多重露光とは

多重露光とは、写真撮影の技法の一つで、一枚のフィルムまたはイメージセンサーに複数の画像を重ねて記録することです。多重露出や二重写しとも呼ばれます。

フィルムカメラにおける多重露光

フィルムカメラでは、通常、シャッターを切るとフィルムが自動的に巻き上げられ、次の撮影に備えます。しかし、意図的にフィルムの巻き上げを停止させることで、同じコマに複数回露光することができます。初期のカメラにはコマ送りの機構がないものもあり、意図せず多重露光になることもありました。
多重露光を行うには、カメラに多重露光機能が搭載されているか、または独自の方法を用いる必要があります。例えば、フィルムを巻き戻し、再度同じ位置で撮影する方法などがあります。

デジタルカメラにおける多重露光

デジタルカメラ、特に多機能な高級機種では、多重露光機能が搭載されていることが多く、2回から10回程度の重ね撮りが可能です。機種によっては、個別に撮影したRAW画像を複数枚合成し、一枚の画像として保存する機能もあります。

多重露光の露出補正

多重露光を行う際には、重ねる画像の枚数に応じて露出を調整する必要があります。露出オーバーにならないように、一枚当たりの画像の露出をマイナス補正します。

露出補正の目安は以下の通りです。

2枚重ね: -1EV
3枚重ね: -1.5EV
4枚重ね: -2EV

デジタルカメラでは、露光回数に合わせて自動的にゲイン（出力）を補正する機能が搭載されている機種もあります。この機能は、「加重平均」や「加算平均」と呼ばれます。

デジタルカメラの多重露光モード

デジタルカメラには、加算平均の他に、以下のような多重露光モードが搭載されていることがあります。

加算: フィルムカメラの多重露光と同様の仕上がりになります。
比較明: 同じピクセルが記録した画像のうち、より明るいものを選択して合成します。
比較暗: 同じピクセルが記録した画像のうち、より暗いものを選択して合成します。

これらの機能を活用することで、様々な表現の多重露光写真を作り出すことができます。

多重露光の応用

多重露光は、幻想的な風景写真やアーティスティックなポートレートなど、様々なジャンルの写真表現に活用できます。

注意点

心霊写真として紹介される写真の中には、多重露光によって意図的、あるいは意図せず作り出されたものが多く存在します。

多重露光は、創造性を刺激する魅力的な撮影技法です。ぜひ、多重露光機能を活用して、独自の表現を追求してみてください。

もう一度検索