夜盲症

夜盲症（Nyctalopia）

夜盲症は、暗い場所での視力が著しく低下する病気で、一般に「鳥目（とりめ）」とも呼ばれます。しかし、鳥類で夜に目が見えないのは一部の種に限られます。

病態

暗い場所での視覚は、ロドプシンという物質が大きく関わっています。ロドプシンはビタミンAとタンパク質から構成されており、ビタミンAが不足するとロドプシンの機能が低下し、暗い場所での視力が低下します。

メカニズム

ロドプシンが視神経に信号を伝えるメカニズムは以下の通りです。

1. βカロテンが分解され、トランス型のレチノール（ビタミンAの一種）が生成されます。
2. レチノールが酸化されてレチナールになります。
3. トランス型のレチナールがシス型に変化し、オプシンというタンパク質と結合してロドプシンが形成されます。
4. ロドプシンに光が当たると、シス型のレチナールがトランス型に戻り、オプシンから離れます。
5. この変化が細胞に伝わり、化学的に増幅されて電気信号に変換され、視神経に伝達されます。
6. トランス型のレチナールは、再びイソメラーゼの作用でシス型に戻り、オプシンと結合します。
7. レチナールは徐々に消耗されるため、不足分はレチノールから補われます。

ビタミンAが不足すると、ロドプシンの機能が低下し、暗い場所での視力も低下します。

分類

夜盲症は、原因や発症時期によっていくつかの種類に分類されます。

先天性夜盲症：遺伝的な原因で発症する夜盲症
進行性先天性夜盲症
非進行性先天性夜盲症
小口病
眼底白点症
後天性夜盲症：ビタミンA不足や眼疾患などが原因で発症する夜盲症
ビタミンA欠乏性夜盲
眼底疾患（網膜色素変性症など）

原因

先天性夜盲症は遺伝が原因であることが多く、後天性夜盲症はビタミンAの欠乏や眼疾患が原因となります。

疫学

一次予防

ビタミンAを多く含む食品（レバー、緑黄色野菜など）をバランス良く摂取することが重要です。ただし、ビタミンAの過剰摂取は中毒を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

二次予防

夕方や暗い場所で急に視力が低下した場合は、早めに眼科を受診しましょう。

三次予防

光刺激を避けるために、遮光眼鏡を使用したり、屋外での作業を控えたりすることが有効です。

症状

夜盲症の主な症状は、暗い場所での視力低下です。明るい場所では問題なく見えますが、暗い場所では極端に視力が低下し、ものが見えにくくなります。

検査

夜盲症の検査では、眼底検査、視野検査、網膜電位検査、暗順応検査などが行われます。

治療

ビタミンA欠乏性夜盲の場合は、ビタミンAを摂取することで症状が改善する可能性があります。しかし、根本的な治療法はまだ確立されていません。

HOYAが開発した眼鏡型ウェアラブル端末「HOYA MW10 HiKARI」は、高感度カメラで捉えた映像をディスプレイに投影することで、暗い場所でも視力を補助する機能があります。

予後

先天性夜盲症の中でも進行性の場合は、視覚予後は不良です。それ以外の夜盲症は、比較的視覚予後が良好な場合が多いです。

診療科

夜盲症の診療は、内科や眼科で行われます。

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