夢想花

『夢想花』について

『夢想花』（むそうばな）は、日本のシンガー[[ソングライター]]円広志が1978年11月21日にリリースしたデビューシングルです。この曲は、彼にとって新たなスタートを切る重要な作品であり、キャニオン･レコードのAARD-VARKレーベルから発売されました。

背景

円広志は、以前に所属していたロックバンドを解散した後、音楽活動から足を洗おうかと悩む日々を送っていました。彼の生活は、全日空の社員である妻が伊丹空港で働いて支えており、円はアルバイトをしながら音楽活動に希望を持ち続ける状況でした。「もし音楽ができなくなるのかと思ったら、急に孤独な気持ちが湧いてきた」と彼は語っています。そんな中、ギターを叩きつけるようにして作り上げたこの曲の詞や曲はわずか15分ほどで完成しましたが、タイトルを決定するまでには10日を要したといいます。

最初のデモテープは東京の出版社に届き、CBS・ソニーから発売される予定でしたが、アルバイト先で知り合ったヤマハの関係者の勧めにより第16回ヤマハポピュラーソングコンテスト（ポプコン）に出場することとなります。ポプコンでグランプリを獲得すれば成功が約束される時代背景もあり、円は「一か八かの賭け」として参加しました。

ポプコンでの成功

ポプコンでは、円は予選ラウンドで『夢想花』を歌い上げました。その際、観客の一人がパンフレットを使って紙飛行機を作り、飛ばしたところ、他の観客も一緒に飛ばすという盛り上がりを見せます。決勝ラウンドでは、歌詞の「とんでとんで」に合わせて観客が紙飛行機を飛ばし、会場は賑やかな雰囲気に包まれました。この独特の演出に圧倒された審査員は次々に高得点を与え、円は見事にグランプリを獲得しました。

この成功をきっかけに、ヤマハ系列のAARD-VARKからの発売が決定し、彼の音楽キャリアが始まることとなります。以降、この曲は日本航空のCMソングにも起用され、大衆の知名度を広めました。さらに、2015年からは大阪環状線福島駅の発車メロディとしても採用され、歌詞の「まわってまわって…」に因んだ周回運転とともに親しまれています。

音楽的特徴

『夢想花』の特筆すべき点は、サビで「とんで」という言葉をリズミカルに9回繰り返す歌詞です。このフレーズは、本人が息切れしてちょうど9回目で切れたことから生まれました。このユニークな表現は、後に円の代名詞ともなり、幅広いCMやメディアで替え歌として使用されるようになります。また、円が設立した事務所の名前である「オフィスとんで」もこの曲から付けられています。

売上とタイアップ

『夢想花』は、リリース当初から注目を集め、1980年代初頭には『ザ・ベストテン』で10位にランクインしました。最終的には約80万枚を売り上げる大ヒットを記録します。曲は日本航空のCMソングに使用され、1990年代にもさまざまなCMに起用され続けます。

カバーと影響

この曲は多くのアーティストにカバーされていて、チェリッシュや米米CLUB、荻野目洋子などがその一例です。そのため、現在でも多くの人々に愛されており、新たな世代にもその魅力が伝わっています。

まとめ

『夢想花』は、円広志のキャリアを築く基盤となった曲であり、今もなおさまざまな形で多くのファンに親しまれています。彼の音楽は、今後も日本の音楽シーンに影響を与え続けることでしょう。

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