大山行男

大山行男：富士山を捉え続ける写真家

大山行男（1952年生まれ）は、日本の自然写真、特に富士山を専門とする写真家として広く知られています。彼の作品は、富士山そのものの雄大な姿だけでなく、その周辺の樹海やそこに息づく動植物、そして富士山の四季折々の表情までを捉えた、多様な視点と高い技術が光るものです。

写真家としてのキャリア

神奈川県小田原市出身の大山氏は、独学で写真を学び、最初は蒸気機関車を主な被写体として活動を始めました。1976年に富士山を撮影し始めると、その魅力にとりつかれ、富士山撮影に人生を捧げることになります。

1990年には富士山麓に自らドームハウスを建築、撮影拠点としました。この拠点から、絶え間なく変化する富士山の姿を記録し続けました。1999年には週刊朝日で「富士燦燦」を連載、この連載が彼の知名度を大きく向上させるきっかけとなりました。2004年には、よりダイナミックな視点を取り入れるため、ジェットヘリコプターによる空撮も開始しました。

多彩な作品と写真集

大山氏は富士山をテーマとした写真集を多数出版しています。初期の作品では、富士山を神々しいシルエットとして捉えたものから、雄大な自然の風景を写実的に表現したものまで、様々なアプローチが見られます。近年では、より高度な撮影技術を駆使し、空からの視点や、繊細な動植物の描写を取り入れた作品も発表しています。

代表的な写真集には、『富士山』（グラフィック社）、『富士―神々のシルエット』（玄光社）、『初めての富士山』（小学館）、『富士樹海』（毎日新聞社）、『宇宙の富士山』（山と溪谷社）、『大地の富士山』（山と溪谷社）などがあります。これらは単なる風景写真にとどまらず、富士山と自然、そして人間の関わりを多面的に表現した作品群として高く評価されています。

また、彼の作品は国内外で数々の展覧会で発表され、その高い芸術性と技術力が広く認められています。代表的な展覧会には、「初めての富士山」（渋谷PARCO）や「100 Mt. FUJI 神々の宿る山」（西武百貨店）などがあります。

大山行男写真の特質

大山行男の写真の大きな特徴は、その圧倒的な技術力と、富士山への深い愛情です。単なる記録写真ではなく、富士山という存在への深い理解と敬意が感じられる作品の数々は、見る者に感動と畏敬の念を与えます。長年にわたる撮影活動から培われた技術と経験、そして富士山に対する揺るぎない情熱が、彼の作品を際立たせていると言えるでしょう。彼は、これからも富士山を撮り続け、その神秘的な魅力を世界に伝え続けることでしょう。

参考文献

* 『名作写真館 大山行男 富士三十六景』（小学館）

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