大津市民病院

地方独立行政法人市立大津市民病院について

滋賀県大津市にある市立大津市民病院は、地域医療支援病院として重要な役割を果たしている医療機関です。2017年4月1日からは、地方独立行政法人として改称され、その運営が新たな歩みを始めました。

歴史

この病院の起源は1879年にさかのぼります。当初は県が設置した仮避病舎としてスタートし、その後、1899年には大津伝染病院が開院しました。1907年には名称が大津市圓山病院に変更され、1937年には大津回生病院として新たに開院しました。この病院は、地域の組合立伝染病院として、より広範な医療サービスを提供することを目指しました。

第二次世界大戦後は、大津市が進駐軍からの要請に基づき診療範囲を拡大し、1948年には大津市立病院として再スタートしました。この施設は、「新設廉価」を掲げ、市民にとっての医療サービスを提供してきました。1963年には新館が竣工し、1964年1月には新装開業しました。

1984年には新病棟や管理棟の整備が完了し、1987年に付属看護専門学校が新しい校舎に移転しました。その後も、外来や検査機能の拡充を図り、1996年にはホスピス病棟の新設を行い、1999年に新病棟が完成しました。

2017年には地方独立行政法人化し、名称を市立大津市民病院に変更しました。これにより、さらなる医療サービス向上を目指す新しい体制がスタートしました。

医師の大量退職問題

しかし、2021年から2022年にかけて、同病院では深刻な医師の退職問題が発生しました。特に2022年2月には、外科系の医師32人が退職の意向を示し、業界内外で注目されました。この背景には、理事長からのパワーハラスメントの指摘があったと言われています。医師たちは、一方的な人員削減や交代を強いられ、職場環境に対する不満が高まっていました。

理事長はパワハラを否定しましたが、第三者委員会は理事長の言動が京都大学との関係に影響を与えたと報告しました。結果、理事長は辞任を余儀なくされ、院長も4月に辞任を発表しました。看護師の離職率も前年の11.6％に達し、患者数が激減し、病院には過去最大の赤字が計上されました。2022年4月からは新たに日野明彦氏が院長に就任し、再生を目指しています。

医療ジャーナリストの指摘によれば、同病院では京都府立医科大学出身の医師が多く、医療機関内には伝統的な有力さを持つ教授陣が存在するため、診療科のリーダーシップに影響を与えているとされます。このような状況下で、病院がどのようにして信頼回復と機能回復に取り組んでいくかが、今後の課題となるでしょう。

施設とアクセス

市立大津市民病院は、24時間体制の救急診療「ERおおつ」をはじめ、感染症治療センターやホスピス病棟など、多様な医療サービスを提供しています。また、アクセスも良好で、JR琵琶湖線や近江鉄道バスを利用することができます。

この病院は、地域に根ざした医療の提供を目指し、今後もさらなる進展を期待されています。

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