大覚醒

大覚醒（英: The Great Awakenings）は、主に1730年代以降、イギリスおよびアメリカ合衆国において繰り返し発生した、信仰の大規模な復興運動の期間を指す歴史的概念です。これは単に過去の一過性の現象ではなく、特にアメリカ合衆国の宗教史においては、信仰が周期的に高まり、再生される過程を示すものとして理解されています。

この「大覚醒」という言葉は、厳密な定義が一つではありません。狭義には18世紀以降のアメリカにおける特定の信仰復興運動を指すことが多いですが、広義にはさらに遡り、16世紀半ば、具体的には1550年代以降の宗教改革を経て生じた信仰の再興期をも含める場合があります。このように、その指す範囲には歴史的な文脈によって幅が見られます。

特にアメリカ史において、大覚醒は幾度かの顕著な期間に区分されるのが一般的です。歴史学者の間でしばしば単に「大覚醒」と呼ばれるのは、1730年代から1750年代にかけて起こった第一次大覚醒です。この時期は、植民地時代における宗教的な停滞を打ち破るような、熱狂的な信仰の盛り上がりが見られました。

これに続いて、19世紀初頭の1800年代から1830年代にかけて第二次大覚醒が発生しました。この時期は、アメリカの辺境地帯や都市部で、個人の内面的な回心と社会改革への関心が強く結びついたリバイバルが特徴とされます。

さらに時代が進み、19世紀末の1880年代から20世紀初頭の1900年代にかけては第三次大覚醒が見られました。この時期は、産業化や都市化が進む中で、社会福音運動など、信仰が社会問題に対する応答と結びつく側面が強まりました。

そして、比較的近年の現象として、20世紀後半の1960年代から1970年代にかけては第四次大覚醒が提唱されています。この時期のリバイバル運動は、公民権運動やカウンターカルチャーといった当時の社会情勢と複雑に絡み合いながら展開しました。

これらの大覚醒の期間に共通するのは、形式的な宗教儀式よりも、個人の内面的な信仰体験や感情、熱意が重視された点です。カリスマ的な説教者による力強いメッセージが多くの人々の心を動かし、大規模な集会が各地で開かれました。これは、既存の教会の枠組みを超えた新たな宗教的コミュニティや宗派の形成を促すこともありました。

大覚醒は、単なる宗教的な現象に留まらず、英米、特にアメリカ合衆国の社会や文化、さらには政治的な潮流にも深い影響を与えてきました。個人の主体性や感情が強調されたことは、後の思想や運動にも影響を与えたと考えられています。そのため、大覚醒は多くの歴史学者や社会学者にとって、重要な研究対象であり続けています。

このように、大覚醒は単一の出来事ではなく、英米の歴史を通じて繰り返し現れた、信仰のリバイバルという現象を指す包括的な概念です。その都度、時代背景や社会状況によって異なる様相を呈しながらも、人々の信仰心を揺り動かし、社会に変化をもたらす原動力の一つとなってきたと言えるでしょう。それは、アメリカ合衆国がしばしば「宗教的な国家」として語られる上で、理解するべき極めて重要な要素の一つです。

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