太宰府主婦暴行死事件

太宰府主婦暴行死事件

太宰府主婦暴行死事件は、2019年10月に福岡県太宰府市で発生した、傷害致死、監禁、恐喝事件です。この事件では、被害者である主婦Aが、加害者XとYによって凄惨な暴行を受け、最終的に死亡するという痛ましい結果となりました。

事件の概要

2019年10月20日早朝、太宰府市内のインターネットカフェの駐車場に停められた車の中で、A（当時36歳）の遺体が発見されました。Aの体には全身にあざや刺し傷があり、死因は外傷性ショックでした。警察は、死体遺棄などの容疑でX（女・41歳）、Y（男・25歳）、Z（男・47歳）を逮捕しました。

裁判では、XとYが互いに罪をなすりつけ合うという異例の展開となりましたが、最終的にXには懲役22年、Yには懲役15年の有罪判決が下されました。Zは恐喝未遂と死体遺棄で起訴されましたが、死体遺棄については無罪となっています。

事件の経緯

事件の背景には、複雑な人間関係と金銭トラブルがありました。

Aは、Xから兄の借金を支払うよう執拗に要求され、Xの背後にいる元暴力団員のZを恐れて、借金を肩代わりするようになりました。その後、XはAをホストクラブに連れ出して借金を増やし、Zを使ってAに金銭を要求し続けました。Aは家族や親戚に電話をかけさせられ、親族から孤立していきました。

XとYはAを夫と別居させ、同居させて孤立させました。その後、XらはAに対し、日常的に暴行を加え、監禁しました。2019年9月以降、XはAに大量の食事を無理やり与えて太らせたり、奇抜な化粧をさせたりするなど、Aに対する支配を強めていきました。同年10月には、XとYはAに対し、バタフライナイフや割り箸で刺したり、木刀で殴るなどの暴行を加え、現金約100万円を脅し取りました。

Aは、2019年10月19日から20日にかけて、下半身打撲による外傷性ショックで死亡しました。

裁判の結果

Zに対する判決

Zは恐喝未遂と死体遺棄で起訴されましたが、裁判所は死体遺棄について無罪を認定し、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を下しました。控訴審でも一審判決が支持され、Zの有罪判決が確定しました。

X・Yに対する判決

XとYは、傷害致死、監禁、恐喝、死体遺棄などの罪で起訴されました。裁判所は、Xに懲役22年、Yに懲役15年の実刑判決を下しました。XとYは控訴しましたが、控訴審でも一審判決が支持され、2人の実刑判決が確定しました。

裁判では、XとYが互いに責任をなすりつけ合うなど、真相の解明が困難な状況もありましたが、裁判所は、周囲の証言やLINEのメッセージなどを基に、XとYがAに対して日常的に暴行を加えていたこと、監禁していたことを認定しました。

Xの人物像

Xは、過去に貸金業を営み、複数の人物から金銭を脅し取っていたことが明らかになっています。また、事件の3年前にも、Yと同居していた女性が不審な死を遂げていることが判明しています。Xの知人によると、Xの父親は暴力団関係者であり、X自身も中学時代から暴力的な傾向があったとされています。

2022年11月、Xが服役中の刑務所内で新型コロナウイルスに感染し、死亡していたことが報じられました。

警察の対応

Aの夫は、Aが死亡する前に福岡県警や佐賀県警に相談しましたが、警察はまともに取り合わなかったとされています。特に、佐賀県警鳥栖警察署の巡査Eは、Aの夫が持参した3時間にも及ぶ録音データを十分に確認せず、被害届を受理しませんでした。警察の対応の不備が、Aの死を防げなかった一因として指摘されています。

議会の対応

佐賀県議会には、本事件に関する警察の対応について、第三者委員会の設置や再調査を求める請願書が提出されましたが、反対多数で不採択となりました。

関連書籍

本事件を題材にした書籍として、テレビ西日本の塩塚陽介氏による『すくえた命　太宰府主婦暴行死事件』（幻冬舎）があります。

関連項目

• - 北九州監禁殺人事件
• - 栃木リンチ殺人事件
• - 桶川ストーカー殺人事件

これらの事件は、本事件と同様に、警察の対応の不備が被害者の死を招いたとされる事件です。

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