奉公構

奉公構（ほうこうかまい）について

奉公構とは、安土桃山時代から江戸時代にかけて施行された、武家が家中の武士に対して科した刑罰の一種であり、主に将来の奉公を禁止することを指します。この制度は、家臣に対する重い罰であり、旧主からの赦しがなければ他家に仕官することができないというものです。

奉公構の概要

奉公構は特に大名が、自身の家臣が罪を犯した場合や、主に対して不満を持って勝手に辞職した場合などに適用されました。この状況で、他の大名がその武士を召し抱えないようにするための通知を発行することが「構」と呼ばれます。このような罰は、ただの追放よりも遥かに重いもので、武士としての生計が立てられなくなるリスクを伴います。

「構われ者」となった場合、その武士は、他のどの家においても奉公人として雇われることが禁じられ、旧主が求める場合には、逃げた武士を捕まえて旧主の元に戻す義務すら生じます。このような厳しい制度により、戦国時代のように家々を渡り歩いて名を挙げることが非常に困難になりました。

豊臣政権と奉公構

豊臣秀吉は、全国を統一したことによって、この奉公構を全国に広めることができました。彼の下では、奉公構に関する法律が整備され、大名の間での力関係に基づいて、必ずしも厳格には守られないケースも存在しました。例えば、蒲生氏郷が転封された際には、家臣が不足したために構を受けた浪人の雇用が許可されたこともありました。

江戸幕府の運用

江戸幕府においても奉公構は使用され、特に大坂の陣後、多くの浪人が存在していたため、彼らを抑圧する策として採用されました。1623年には京都における罪人や構われ者の追放が命じられ、江戸幕府の規則として正式に措置が取られました。

さらに、1632年には公文書として「構有レ之奉公人不レ可二抱置一事」と明記され、武士が再び仕官することが難しくなるように規定されました。寛永12年の改正では、さらに詳細な規則が設けられ、武士が構を受けた場合、扶持を没収されるだけでなく、再仕官ができない状態に追い込まれました。

奉公構の影響

奉公構は、武士階級にとって非常に重い罰であり、死刑に次ぐ厳しい処分と考えられました。武士が奉公構を受けると、彼は武士としての生活を維持することがほぼ不可能となります。結果として、この制度は武士の行動を制限し、彼らの社会的地位に深刻な影響を及ぼしました。

まとめ

奉公構は、武士が主に忠誠を尽くすことを強制するための厳格な制度であり、簡単には逆らえないものでした。この制度により、武士に対する支配が強化され、彼らの行動や選択肢は大きく制限されることになりました。武士の生き方や社会構造にも深く根付いたこの制度は、時代を経る中で重要な役割を果たしました。

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