妊産婦死亡率

妊産婦死亡率とは

妊産婦死亡率（Maternal Mortality Ratio）は、妊娠中または出産に関連して死亡した妊産婦の数を、出産数で割ったものです。具体的には、出生数と死産数を合わせた年間出産数に対する、年間妊産婦死亡数を10万をかけて算出します。

この指標は、各国の保健医療政策を評価するために用いられ、母体保護の状況を把握する上で重要な役割を果たします。

妊産婦の定義

妊産婦とは、妊娠中または妊娠終了後一定期間内の女性を指します。定義は時代によって異なり、1978年以前は妊娠中および妊娠終了後90日未満、1979年以降は妊娠中および妊娠終了後42日未満とされています。

妊産婦死亡の定義

妊産婦死亡とは、妊娠・出産または妊娠・出産に関連する病気が原因で死亡した場合を指します。事故や犯罪、自然災害など、妊娠・出産とは直接関係のない原因による死亡は含まれません。

妊産婦死亡は、さらに直接産科的死亡と間接産科的死亡に分類されます。

直接産科的死亡: 妊娠・出産自体が原因で死亡した場合
間接産科的死亡: 妊娠前から発症していた病気や障害が、妊娠・出産の影響で悪化して死亡した場合

計算式

妊産婦死亡率は以下の計算式で算出されます。

妊産婦死亡率 = 年間妊産婦死亡数 ÷ 年間出産数（出生数 ＋ 死産数） × 100,000

妊産婦死亡率の推移

世界的に見ると、医学と医療技術の進歩、経済発展、医療制度の整備などにより、妊産婦死亡率は減少傾向にあります。特に、高所得国ではその傾向が顕著です。

しかし、国や地域によって状況は大きく異なり、紛争や貧困、医療体制の不備などが原因で、妊産婦死亡率が高い国も存在します。

世界の妊産婦死亡率

多くの国で妊産婦死亡率は史上最少記録を更新していますが、一部の国では依然として高い水準にあります。特に、低所得国では妊産婦10万人あたり数百人以上の死亡例が見られる場合もあります。

妊産婦死亡率が低い国では、10万人あたりの死亡数が5人以下にまで減少していますが、その水準で停滞している状況が見られます。これは、人間社会が到達できる限界値である可能性が指摘されています。

日本の妊産婦死亡率

日本では、1899年には妊産婦10万人あたり409.8人という高い死亡率でしたが、2016年には3.4人まで減少しました。これは、医療技術の進歩や医療制度の整備によるものです。しかし、依然として死亡事例がゼロになったわけではなく、さらなる改善が求められています。

国別の比較

妊産婦死亡率は、国の経済状況や医療体制によって大きく異なります。高所得国と低所得国では100倍以上の差がある場合もあります。この差を縮めるためには、国際的な協力が不可欠です。

まとめ

妊産婦死亡率は、母体保護の状況を示す重要な指標です。世界的に減少傾向にはありますが、国や地域によって大きな差があります。医療体制の整備や経済発展が、妊産婦死亡率を改善するために重要であり、国際的な協力も必要不可欠です。

より多くの女性が出産を安全に迎えられるよう、継続的な努力が求められています。

関連項目

妊娠
出産
* 産婦人科

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