学校法人活水学院

学校法人活水学院は、長崎県長崎市東山手町に拠点を置く、プロテスタント系のミッションスクールを運営する学校法人です。その起源は、1879年にアメリカ・メソジスト監督派教会から派遣された女性宣教師、エリザベス・ラッセルが長崎の地で開いた一校の女学校に遡ります。

建学の精神

19世紀、アメリカのプロテスタント教会は海外への伝道活動に力を注ぎ、多くの女性宣教師を派遣しました。メソジスト監督派教会の女性海外伝道協会の一員として、エリザベス・ラッセルは1879年に長崎へ派遣され、当初はたった一人の生徒を迎えて女学校を開設しました。これが活水学院の始まりです。

校名である「活水」は、新約聖書「ヨハネによる福音書」第4章14節の「わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る」という言葉から名付けられました。これは、キリストが与える恵みが尽きることのない命の泉であることを示唆しています。

また、創設者であるラッセルが常に教えの中心に置いていた言葉が、活水学院のスクールモットー「知恵と生命との泉－主イエス・キリスト－に掬（むす）べよ」となっています。この言葉には、人が生きる上で必要なすべての知恵や生命を、尽きることのない源泉であるイエス・キリストから絶えず汲み取りなさい、という深い意味が込められています。このモットーに示されるキリスト教精神が、活水女子大学、活水高等学校、活水中学校で行われる教育の揺るぎない理念として受け継がれています。

沿革

活水学院の歴史は、1879年にエリザベス・ラッセルが長崎・東山手の外国人居留地に女学校を創設したことから始まりました。当初は生徒が1名でしたが、開校からわずか2年後の1881年には「活水女学校」と校名が定められ、生徒数は18名に増加しました。翌1882年には東山手に新しい校舎が建設され、生徒数は43名に達するなど、順調に発展を遂げました。

教育内容も拡充され、1887年には初等科、中等科、高等科、神学科、音楽科が設置され、その後1889年には美術科、1893年には裁縫科が加わりました。1895年には新しい校舎であるカウエン館が完成しています。

20世紀に入ると、1911年には中等科と高等科を合わせて大学部とし、別に専門部を設置するなど、教育組織が再編されました。初等科は高等女学部となりました。1919年には活水女学財団法人が設立認可を受け、大学部は活水女子専門学校へと改組されました。同年、長年の教育功労が認められ、エリザベス・ラッセルは藍綬褒章を受章しています。1923年には神学部が日本女子神学院へ統合され、「創立記念日の歌」が制定されました。1942年には校歌が制定されています。

太平洋戦争末期の1945年8月9日、長崎への原子爆弾投下により、活水学院は甚大な被害を受けました。この悲劇により、職員9名と生徒80名という多くの尊い命が犠牲となりました。これは活水学院の歴史において、決して忘れることのできない痛ましい出来事です。

戦後の教育改革を経て、1947年には新制活水中学校が、1948年には新制活水高等学校が設置されました。また、女子専門学校の栄養保健科は栄養士養成施設として指定を受けています。1950年には活水女子専門学校が活水女子短期大学（英文科、家政科、音楽科）へと改組されました。1951年には財団法人から学校法人活水学院へと組織が変更され、中学校・高等学校は竹の久保町（現在の宝栄町）に移転しました。

創立100周年を迎えた1979年には、その歴史をまとめた「活水百年史」が刊行されました。1981年には活水女子大学が開学し、高等教育機関としての新たな展開が始まりました。また、国際交流センターも開設されています。1991年には大学院が設置されるなど、学術研究の拠点としての機能も強化されました。1999年には創立120周年を記念し、創設者エリザベス・ラッセルの生涯を描いた映画「わが心に刻まれし乙女たちを」が制作されるなど、学院のルーツを振り返る取り組みが行われました。時代の流れと共に、2005年には活水女子短期大学が閉学しています。

現在、学校法人活水学院は、活水女子大学、活水高等学校、活水中学校を設置しており、創立以来受け継がれるキリスト教に基づいた建学の精神の下、全人教育を通じて社会に貢献できる人材の育成を目指しています。

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