安倍寧

日本の音楽評論家である安倍寧氏は、1933年5月21日に静岡県に生まれました。東京都立日比谷高等学校を経て、慶應義塾大学文学部仏文学科を卒業。大学在学中の1955年には既にフリーライターとして活動を開始しており、日本のショー・ビジネスや芸能界を中心に筆を執りました。

初期の評論活動では、美空ひばりや越路吹雪といった国内のスターに加え、フランク・シナトラ、エルヴィス・プレスリー、そしてビートルズといった海外の著名なアーティストについても精力的に論じ、その洞察力の深さで注目を集めました。

1965年以降、安倍氏はミュージカルの世界に深く傾倒していきます。ニューヨークのブロードウェイやロンドンのウエスト・エンドに足繁く通い、数多くのミュージカル作品を現地で鑑賞。そこで培われた豊富な知識と経験は、後の評論活動の大きな糧となりました。

また、日本の音楽業界における要職も務めました。長年にわたり日本レコード大賞の実行委員や審査委員に名を連ね、日本のポピュラー音楽の発展に貢献しています。さらに、大学時代からの旧友である演出家・浅利慶太氏との深い親交から、劇団四季の取締役を務めるなど、演劇界とも密接な関係を築きました。その他、エイベックス・ホールディングス株式会社の顧問なども歴任しています。

メディア出演としては、エフエム東京の番組「ジャズ・ワークショップ」に出演し、音楽に関する幅広い知識を披露しました。

多岐にわたる活動の傍ら、著書も複数発表しています。ショー・ビジネス論から特定のアーティスト、ミュージカルに関するものまで、その関心の幅広さがうかがえます。

主な著書には以下のものがあります。

『音楽界実力派』（音楽之友社、1966年）
『流行歌の世界』（東亜音楽社、1966年）
『越路吹雪・愛の讃歌』（PHP研究所、1978年）
『劇団四季musicals 浅利慶太とロイド=ウェバー』（日之出出版、1996年）
『ショウ・ビジネスに恋して』（角川書店、1996年）
『Viva!劇団四季ミュージカル』（日之出出版、2000年）
『ミュージカルにI love you 華麗な舞台の表裏』（日之出出版、2006年）
『喝采がきこえてくる ブロードウェイから東京まで、ショウ・ビジネスの光と影』（ベストセラーズ、2007年）

これらの著作や長年の活動を通じて、安倍寧氏は日本の音楽・芸能評論、特にミュージカル評論の分野において確固たる地位を築きました。

参考資料として、『文藝年鑑2007』や、紀伊國屋書店ウェブサイトの書籍情報などが挙げられます。また、自身のオフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」でも、様々な情報発信を行っていました。

日本のエンターテイメント界の変遷を間近で見つめ、その魅力を深く掘り下げてきた安倍氏の功績は大きいと言えるでしょう。

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