家族愛

家族愛（かぞくあい）とは、一般的に恋愛感情とは区別される、家族間における愛情や絆を指します。血縁関係の有無に関わらず、共に生活し、支え合う人々が互いに抱く温かい感情と言えるでしょう。

創作における家族愛

創作作品においては、家族愛は様々な形で表現されます。兄妹間の愛情、親子の絆、夫婦の協力など、その形は多岐にわたります。

例えば、評論家の本田透氏は、『シスター・プリンセス』を妹から兄への家族愛を描いた作品として分析しています。しかし、近年では『CLANNAD』のような家族愛を主題とした作品は、一部のオタク層向けの作品に限定されつつあると指摘しています。これは、社会の変化や価値観の多様化が、家族愛の表現にも影響を与えていると考えられます。

社会における家族愛

社会学者の野田潤氏は、育児や介護といった本来社会全体で支えるべき問題が、「家族愛」の名の下に個人の責任に押し付けられている現状を指摘しています。特に日本では、再生産労働（育児や家事など）を担うのが女性であることが多いため、子どもへの親密性を強調することは、結果的に母性神話の強化につながる可能性があると警鐘を鳴らしています。家族愛という言葉が、社会的な責任を曖昧にし、個人の負担を増大させる要因となっている側面もあるのです。

教科書で教える家族愛

2018年から、日本の小学校では「道徳の時間」が教科となり、検定教科書を用いた評価が行われるようになりました。文部科学省の『小学校学習指導要領解説　特別の教科 道徳編』によれば、「家族愛、家庭生活の充実」に関して、以下のような内容を教えるとしています。

家族は、互いに支え合い、助け合う存在であること
家族の一員として、自分の役割を果たし、家庭生活を大切にすること
* 高齢者や障害のある家族を敬い、大切にすること

しかし、教科書で特定の価値観を教えることには、批判的な意見も存在します。例えば、「理想的な家族像」を押し付けることは、多様な家族形態を否定し、いじめにつながる可能性も指摘されています。また、家族愛を過度に強調することで、家庭環境に恵まれない子どもたちの心を傷つけてしまう懸念もあります。教育現場においては、家族愛の重要性を教えるとともに、様々な家族の形を尊重する姿勢が求められるでしょう。

家族愛は、人間にとって根源的な感情の一つです。しかし、その形は時代や社会によって変化し、様々な問題点も孕んでいます。家族愛について深く理解することは、より良い社会を築く上で不可欠と言えるでしょう。

関連語句：ストルゲー、近親愛、情緒的近親姦、親ラブ族

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