家計調査

家計調査とは

家計調査は、総務省統計局が実施する基幹統計調査の一つです。全国の家計における収入、支出、貯蓄、負債などの状況を把握し、日本の消費動向を分析するための重要なデータを提供しています。この調査結果は、国民[[経済計算]]の推計や、経済政策の立案など、幅広い分野で活用されています。

調査方法

家計調査は、標本調査によって行われます。全国約4,700万世帯の中から、約9,000世帯を抽出して調査を実施します。調査対象となる世帯は、学生の単身世帯、飲食店併用住宅の世帯、賄い付きの同居人がいる世帯、住み込みの使用人が4人以上いる世帯、世帯主が長期間不在の世帯、外国人世帯を除いた一般世帯です。2000年以降は、農林漁家世帯も調査対象に含まれています。

調査内容

調査では、勤労者世帯と無職者世帯については収入と支出の両方を、個人営業などの勤労者以外の世帯（無職者世帯を除く）については支出を調査します。調査対象となった世帯は、購入した品目や価格などを家計簿のように詳細に記入する必要があります。調査期間は、二人以上の世帯で6ヶ月間、単身世帯で3ヶ月間です。

また、2002年以降は、収入・支出に加えて、貯蓄や負債についても調査されるようになりました。これにより、四半期ごとに家計の資産状況を把握することが可能になっています。ただし、2002年以前に実施されていた貯蓄動向調査とは、調査方法や集計期間が異なるため、結果の連続性には注意が必要です。

変遷

家計調査の前身は、第二次世界大戦後に始まった「消費者価格調査」です。その後、収入も調査対象とした「消費実態調査」を経て、1953年4月に現在の「家計調査」となりました。その後も、調査対象の拡充や調査方法の改善が行われ、現在に至っています。

特徴

家計調査は、個人消費を需要側から捉えることができる唯一の統計です。品目別の支出額など詳細なデータが得られるため、消費に関する様々な分析に広く利用されています。また、国民[[経済計算]]の基礎資料として、GDPの推計にも不可欠な存在です。さらに、特定の品目の購入額を巡り、地域おこしを目的とした競争が繰り広げられるなど、経済活動以外の側面でも注目されています。

用語

家計調査における収入には、給与などの「実収入」だけでなく、預貯金の引き出しや借入金などの「実収入以外の収入」も含まれます。また、支出には、食料品や衣料品の購入などの「消費支出」に加えて、税金や社会保険料などの「非消費支出」も含まれます。

問題点

家計調査には、いくつかの問題点も指摘されています。

標本数の少なさ: 全国の世帯数に対して調査対象となる世帯数が少ないため、結果に歪みが生じる可能性が指摘されています。特に、自動車や家電製品などの高額商品については、購入世帯が調査対象になるかどうかで支出額が大きく変動し、GDPの推計にも影響を与える可能性があります。このため、一部の商品については、調査世帯数を拡大した家計消費状況調査が別途実施されています。
調査協力世帯の偏り: 調査項目が細かく、記入に手間がかかるため、調査に協力する世帯は限られています。そのため、ある程度時間的な余裕がある世帯や、家計簿を付けている世帯など、回答世帯に偏りが生じやすくなっています。また、近年はプライバシー意識の高まりから、家計情報の提供を拒む世帯も増えています。

これらの問題を解決するため、5年に一度、調査対象世帯を大幅に増やした全国消費実態調査が実施されています。ただし、全国消費実態調査は調査期間が限られているため、1年間の所得や支出を網羅するものではありません。

関連情報

関連する統計情報として、物価や物価指数、消費者[[物価指数]]などがあります。また、家計調査は国内総生産（GDP）の推計にも使用されています。

外部リンク

家計調査 - 総務省統計局
家計調査の計画と統計データ (政府統計コード00200561) - 政府統計の総合窓口 (e-Stat)

もう一度検索