小杉湯

高円寺の銭湯「小杉湯」：伝統と革新が融合する文化の発信地

小杉湯は、1933年（昭和8年）に東京都杉並区高円寺で創業した銭湯です。長きにわたり地域の人々に愛され続けており、2020年8月にはその歴史的価値が認められ、国の登録有形文化財に登録されました。

多彩な浴槽と革新的な取り組み

小杉湯の魅力は、伝統的な銭湯の雰囲気を残しつつ、常に新しい試みに挑戦している点にあります。名物のミルク風呂や週替わり・日替わり風呂、水風呂など、多様な浴槽が用意されており、温冷交互浴を楽しむことができます。営業開始前にはヨガやピラティスの教室も開催され、健康志向の利用者に支持されています。

また、浴槽を観客席に見立てた「踊る銭湯」や「銭湯フェス」など、ユニークなイベントを定期的に開催することで、入浴以外の目的で訪れる人々も増やし、幅広い客層を獲得しています。さらに、全国各地の生産者や小売店とコラボレーションし、様々な物販を行うなど、地域活性化にも貢献しています。番頭には、「銭湯図解」で知られるイラストレーターの塩谷歩波氏が名を連ねています。

会員制シェアスペース「小杉湯となり」

2020年3月には、隣接するアパートを改築し、会員制のシェアスペース「小杉湯となり」をオープンしました。3階建ての建物には、キッチン設備のある飲食スペース、電源やプリンターが完備された書斎スペース、ベランダ付きの個室が用意されています。2021年3月には、築88年の古民家をリノベーションした「小杉湯となり-はなれ」もオープンし、多様なニーズに応える空間を提供しています。

多彩なイベントの開催

小杉湯では、様々なイベントが開催され、銭湯の新たな可能性を追求しています。

銭湯ぐらし（2017年3月〜2018年2月）：解体予定の風呂なしアパートを舞台に、クリエイターたちが共同生活を行いながら、銭湯を活用した事業や、銭湯が日常にある暮らしについて実験的な取り組みを行いました。
いどばたアート in 小杉湯（2018年8月2日）：「触れるアート、話せる空間」をテーマに、発泡ビーズ入りの浴槽に着衣のまま入浴するアートコンテンツを用意し、参加者同士のコミュニケーションを促進しました。
小杉湯フェス（2018年11月23日）：音楽、アート、フードなどが融合した、銭湯を舞台にしたお祭りです。
出張OFF呂会 ~ 高円寺編〜（2019年9月7日）：銭湯をオフィスに見立てたイベントで、リラックスした雰囲気の中で仕事や交流を楽しむことができます。
* URBAN SENTO （2020年3月）：ファッションブランド「アーバンリサーチ」とコラボレーションし、座談会やコラボ商品開発などを行いました。

小杉湯原宿のオープン

2024年4月17日には、渋谷区の商業施設「東急プラザ原宿『ハラカド』」地下1階に、銭湯「小杉湯原宿」がオープンしました。これにより、高円寺の小杉湯の魅力をより多くの人に体験してもらう機会が広がりました。

小杉湯は、単なる銭湯としてだけでなく、地域コミュニティの拠点、文化の発信地としての役割も担っています。伝統を守りながらも、常に新しい試みに挑戦することで、銭湯の可能性を広げている小杉湯の今後に、ますます注目が集まります。

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