小泉雅信

小泉 雅信

将棋棋士の小泉雅信（こいずみ まさのぶ）は、明治三十三年（1900年）六月八日に東京府（現在の東京都）に生まれ、昭和三十九年（1964年）九月三日にその生涯を終えました。将棋界において八段の段位を保持し、近代将棋の礎を築いた一人である十三世名人、関根金次郎の門下生として知られています。旧名は小泉兼吉と称しました。

経歴

小泉の棋士としての歩みは、大変幼い頃に始まりました。明治四十年（1907年）、わずか七歳という若さで、後に師となる関根金次郎に入門。将棋の才能を開花させていきます。長い修行期間を経て、大正七年（1918年）には四段への昇段を果たしました。

その後も研鑽を積み、昭和十五年（1940年）には最高峰に近い八段へと昇段します。この時期は、将棋界で名人戦の制度が整備されつつあった頃であり、八段昇段を果たした小泉は、当時の第4期名人戦の予選にも参加するなど、トップ棋士の一人として活動していました。

第二次世界大戦後、日本の将棋界は新たな体制へと移行します。昭和二十一年（1946年）には、現在の順位戦へと繋がるリーグ戦が開始されました。小泉は、創設当初の最高峰クラスであるA級に名を連ねていましたが、この期では残念ながら降級を経験しました。この頃、彼は長年用いてきた小泉兼吉の名を改め、小泉雅信として活動を続けます。昭和二十七年（1952年）、小泉は現役を引退しました。

人物と功績

小泉雅信は、棋士として活動する傍ら、後進の育成にも力を注ぎました。彼の門下からは、棋士として活躍する弟子も輩出しています。

また、彼は将棋に関する著作も複数残しています。昭和二十七年（1952年）には『現代将棋戦術』を、翌昭和二十八年（1953年）には『将棋平手定跡』を大阪屋號書店から出版しました。これらの著書は、当時の将棋の戦術や定跡に関する小泉の研究成果を示すものであり、多くの将棋ファンや研究者に読まれました。さらに、昭和三十五年（1960年）には、『将棋平手定跡』が「将棋ポケット文庫」として再刊されており、彼の著作が広く読まれていたことがうかがえます。

詳細な成績に関する記録は多くは伝わっていませんが、十三世名人関根金次郎の直弟子として、また戦前・戦後にかけて第一線で活動し、著書を通じて将棋の普及・研究にも貢献した棋士として、その名は将棋史に刻まれています。

著書

『現代将棋戦術』（1952年、大阪屋號書店）
『将棋平手定跡』（1953年、大阪屋號書店）
『将棋平手定跡（将棋ポケット文庫）』（1960年、大阪屋號書店）

関連項目

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