少年時代
『少年時代』は、日本の著名な
漫画家コンビ、藤子不二雄のひとり、安孫子素雄が創作した作品です。この
漫画は、作家・柏原兵三の小説『長い道』を基にしており、
1978年から
1979年まで『
週刊少年マガジン』で連載されました。
概要
本作は、第二次世界大戦の終息が迫る中を背景に、作者自身が実際に疎開していた
富山県下新川郡朝日町山崎を舞台にしています。最初の連載時は読者からの反響があまりなく、安孫子も困惑したことが報告されていますが、連載終了後には多くの支持を得ました。
あらすじ
物語は、主人公・風間進一が
東京から富山へ疎開するところから始まります。ここで彼は、同じ疎開先で出会ったタケシという少年と親友になります。しかし、タケシは学校では級長であり、彼に対する優位性を誇示する一方、進一に対しては冷淡な態度をとります。彼らの周囲では、タケシを支配する同級生たちとの間で権力闘争が勃発し、進一はその渦中に引き込まれることになります。
登場人物
- - 風間進一:本作の主人公で国民学校5年生。疎開先である富山でタケシとロングバトルを繰り広げる。彼は東京の学校で副級長としての経験があり、田舎でも級長になれる要因とされているが、疎外感を感じている。
- - 進藤武(タケシ):進一のクラスで級長を務める少年。強力なリーダーシップを持ち、他の生徒たちに影響を与えるが、自己中心的な性格から同級生からは反感を買っている。
- - 美那子:大阪から疎開してきた女の子で、タケシの好意の対象。彼女との関係から進一がタケシのいじめを受ける様子が描かれる。
- - フトシ:単独行動を好む大柄な少年で、タケシに従わない数少ない存在。彼は進一を助ける場面も多く見られる。
- - ケンスケ:タケシのライバルで、ずっと入院していた後仲間となる。彼は進一とタケシにおける抗争の中心となる。
この物語は、疎開という特殊な環境の中で成長していく少年たちの友情、葛藤、そして時には暴力という現実が描かれています。その背景には、戦争という厳しい現実があり、彼らの心の葛藤や成長が感動的に描かれています。
本作は
1990年に
映画化され、藤子不二雄Ⓐがプロデュースを手がけました。
映画は
篠田正浩が監督を担当し、クラシックなストーリーに新たな解釈を加えた作品として評価されています。
映画版の公開当初、興行的な成功には至りませんでしたが、数々の
映画賞を受賞し、多くの人々の心に残りました。
音楽
映画の主題歌として起用された
井上陽水の「少年時代」は、この作品をさらに多くの人に広めるきっかけとなりました。
映画とともに、その歌詞やメロディーは、観客に深い感動を与えました。
本作は、
漫画と
映画の双方でそれぞれの魅力を持ち、今なお多くのファンを抱える作品です。戦争の影響を受けながらも、友情と成長をテーマにした物語は、時代を超えた普遍的な感動を呼び起こします。