属音

音楽理論において、属音（ぞくおん、英: dominant）とは、ある調（キー）における主音から完全5度上の音、すなわち第V度音を指します。これは、音楽の調性を構成する上で非常に重要な役割を担う音です。

属音の定義と具体例

属音は、各調において固有の音として定義されます。例えば、ハ長調（C major）においては、主音であるド（C）から完全5度上のソ（G）が属音となります。同様に、イ短調（A minor）においては、主音であるラ（A）から完全5度上のミ（E）が属音です。この関係は、どの長調や短調においても普遍的です。

属和音

属音を根音とする和音は「属和音」と呼ばれます。属和音は、楽曲の展開や緊張と緩和を生み出す上で非常に重要な役割を果たします。長調においては、属和音は通常、長三和音（メジャーコード）で構成されます。一方、短調においては、属和音は通常、長三和音あるいは属七の和音（ドミナントセブンスコード）で構成されます。

例えば、ハ長調における属和音は、ソ（G）を根音とするGメジャーコード（G-B-D）です。この和音は、楽曲が主音であるド（C）に戻る際の強い推進力となります。イ短調においては、ミ（E）を根音とするEメジャーコード（E-G#-B）が属和音となり、同様に主音であるラ（A）への解決を促します。特に、短調における属七の和音は、より強い緊張感と解決感を演出するために用いられます。

音楽における役割

属音とその和音は、楽曲の進行において中心的な役割を担います。特に、属和音は主和音（トニック）への強い進行感を持ち、楽曲の終止感を決定づける重要な要素となります。多くの楽曲は、属和音から主和音への進行（ドミナントモーション）を軸に構成されています。この進行は、楽曲に安定感と完結感をもたらすために不可欠です。

さらに、属音は楽曲の展開部においても重要な役割を果たします。属和音を変化させることで、楽曲に新たな展開や色彩を加えることが可能です。例えば、属和音に特定の音を付加したり、転回形を使用したりすることで、より複雑な音楽表現を実現することができます。

まとめ

属音は音楽理論の基礎であり、楽曲の構成要素として非常に重要です。属音を理解することで、楽曲の構造を深く理解し、より豊かな音楽表現が可能になります。属和音は、楽曲の緊張と緩和を生み出し、音楽のダイナミズムを作り出す上で欠かせない存在です。音楽を理解し、演奏する上で、属音と属和音の関係を把握することは非常に重要です。

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