山梨県立農林高等学校

山梨県立農林高等学校は、山梨県のほぼ中央部に位置する甲斐市西八幡にキャンパスを構える県立の農業高等学校です。かつては中巨摩郡竜王町に属していましたが、現在は市の南部に位置し、近隣の中巨摩郡昭和町にも近い場所にあります。その歴史は古く、地域に根差した農業教育を展開しています。教育活動の指針として「誠実の人となれ」という校訓を掲げ、専門知識・技術の習得に加え、生徒たちの人間的な成長を重視しています。

学校のルーツは明治時代に遡ります。明治37年（1904年）4月27日、「山梨県立農林学校」として、現在の甲斐市域にあたる竜王村赤坂の地に産声を上げました。創立当初から地域農業の振興に貢献する人材育成を目指しました。その後、大正6年（1917年）には甲府市伊勢町へと移転しましたが、残念ながら第二次世界大戦による戦災で校舎を焼失するという困難に直面しました。このため、昭和21年（1946年）には、かつて旧日本軍の玉幡飛行場があった広大な敷地である現在地へと再び移転を余儀なくされました。戦後の学制改革に伴い、昭和23年（1948年）には現在の名称である「山梨県立農林高等学校」へと改称されました。教育内容も時代の変化に合わせて見直され、かつて設置されていた7学科体制から、平成6年（1994年）には現在の5学科体制（システム園芸科、森林科学科、環境土木科、造園緑地科、食品科学科）へと再編されました。歴史を重ね、平成16年（2004年）には創立100周年を盛大に迎え、その伝統を今日に繋いでいます。

現在、本校には多様な農業分野を学ぶことができる5つの専門学科が設置されています。

システム園芸科: 最新の技術を活用した植物生産や園芸に関する知識・技術を習得します。
森林科学科: 森林の生態や保全、林業技術など、森林資源に関する専門知識を深めます。
環境土木科: 農地の整備や治水など、農業を支える基盤となる土木技術と環境保全について学びます。
造園緑地科: 庭園や公園の設計、施工、管理など、人々の暮らしを豊かにする緑地空間の創造について学びます。
食品科学科: 食品の加工、製造、品質管理、栄養など、食に関する幅広い知識と技術を身につけます。

これらの学科における学習を通じて、生徒たちは農業や関連産業のプロフェッショナルとなるための専門性と実践力を培います。

学校は甲斐市の南部、中巨摩郡昭和町にほど近い場所に広大な敷地を有しています。この敷地内には、各学科の実践的な学びを支える多様な実習施設が整備されています。専門的な学習のための広大な実習地や、森林科学科が利用する演習林に加え、美しいフランス式庭園も設けられており、生徒たちの学習環境を豊かにしています。これらの施設の一部は一般にも開放されており、地域住民が訪れることも可能で、学校が地域社会に開かれた存在であることを示しています。

近年の入試制度においては、多様な生徒を受け入れるため、2021年度より、全学科合わせて最大5名までを上限とする全国からの生徒募集を開始するなど、県境を越えた学びの機会も提供しています。

本校は、これまで各界に多くの有為な人材を輩出してきました。その中には、以下のような著名な方々が含まれています。

浅川巧（著述家、民芸運動家）
石原文雄（作家）
金子健造（歌人）
保坂武（政治家、甲斐市長）
今村陽一（レーサー）
芦澤竜誠（K-1ファイター）
望月智（政治家、中央市長）

山梨県立農林高等学校は、100年以上の歴史を通じて、農業や関連産業の発展に貢献する人材育成を担ってきました。恵まれた実習環境と専門的な教育により、生徒たちは将来社会に貢献するための確かな力を育んでいます。

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