岩本薫

岩本 薫: 日本囲碁界の巨星

概要

岩本 薫（いわもと かおる、1902年2月5日 - 1999年11月29日）は、昭和時代を代表する囲碁棋士です。彼は第3、4期本因坊を務め、「本因坊 薫和」とも呼ばれました。彼の出身は島根県益田市で、広瀬平治郎八段の門下生として数々の戦績を残しました。特に、中盤の戦いにおける強さから「豆まき碁」と称される独自のスタイルが特徴的でした。

早年期と棋士への道

岩本は、島根県美濃郡高津村（現在の益田市）で生まれました。幼少期に韓国の釜山に移住し、10歳の時に父から囲碁を学びます。11歳の頃、東京での修行を勧められ、上京して広瀬平治郎に師事します。1917年に初段を取得し、その後も順調に段階を進め、1926年には六段に昇進しました。1930年代にはブラジルへの移住もありましたが、2年後に帰国し、囲碁界に復帰しました。

本因坊への道

彼は1945年に第3期本因坊戦の挑戦者となり、橋本昭宇本因坊相手に3勝3敗の壮絶な戦いを繰り広げます。翌年の再決戦において2連勝を収め、本因坊に就位し、「薫和」の名を受けます。1947年の第4期本因坊戦では、初めてのコミ4目半を導入し、木谷実八段を相手に防衛戦に成功しました。

国際囲碁の普及活動

岩本は囲碁の海外普及にも尽力しました。1948年には日本棋院の理事長に就任し、1954年には中央会館の初代館長に選ばれました。また、1958年からのアメリカ訪問を皮切りに、1970年代にはブラジル、アムステルダム、シアトルなど多くの場所に囲碁会館の設立を支援しました。彼の情熱は国際的に囲碁の認知を高める手助けとなり、世界中で囲碁を広める基礎を築きました。

後世への貢献

岩本は自身の財産を投じた「岩本基金」を設立し、囲碁の振興に貢献しました。1980年代には日本棋院顧問として活動し、さらには囲碁に関する著作も多数残しています。囲碁に関する著作には『棋聖秀策の布石』や『囲碁を世界に（本因坊薫和回顧録）』などがあり、彼の経験や知識が詰まっています。

栄誉と生涯の終息

数々の称号を持ち、1967年には九段に昇進し、各種の名誉を受賞しました。1983年に現役を引退した後も、その知識を後進に伝える姿勢は変わりませんでした。1999年に97歳で亡くなるまで、囲碁界に多大な貢献を続けました。2002年には生誕100年を記念して名誉市民の称号が贈られ、今でもその業績は広く知られています。彼の門下には、多くの著名な棋士が育っていることからも、岩本の影響力は今日においてもなお継承されています。

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