巨神兵東京に現わる

巨神兵東京に現わる

『巨神兵東京に現わる』は、東京都現代美術館で2012年7月から開催された「館長 庵野秀明特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」に合わせて制作された特撮短編映画です。この作品は、展覧会の館長を務めた庵野秀明のプロジェクトの一環として生まれ、監督は樋口真嗣が担当しました。また、物語のモチーフには『風の谷のナウシカ』に登場する巨大な生物「巨神兵」が用いられたスピンオフ作品です。

展覧会は非常に好評を博し、その後、全国各地に巡回されました。2012年11月17日からは、『巨神兵東京に現わる 劇場版』というタイトルで、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』との同時上映が行われました。この劇場版では特撮博物館上映版に追加されたエンドロールや音声、モノローグの調整が行われ、さらに映像面では合成された巨神兵の羽や電柱、火花などに3DCG技術が取り入れられました。

ストーリー

物語の中心は、東京に一人暮らしをする女性「私」です。彼女のもとに、突然弟が現れます。彼は「明日、この街は滅ぶ」という衝撃的な言葉を口にします。普段はそんなことを言わない弟の言葉を、当初「私」は怪しむものの、しっかりと受け入れることができません。しかし、翌日、麻痺した脳裏に刻まれた予言通り、異形の巨人「巨神兵」が東京に現れ、街は焼き尽くされていきます。

キャスト

声優陣には林原めぐみが名を連ね、TV画面の声は辻岡義堂（日本テレビアナウンサー）が担当しています。巨神兵の造型には、著名なアニメーター宮崎駿が関わっており、彼のデザインによる映像は特に印象深いものとなっています。

製作について

本作は、特撮博物館用に制作されたものであり、CGを使用しないという制約の下に様々な技術が駆使されています。ミニチュアを使った特撮は、マーブリング・ファインアーツや東宝などから提供されたものが多く利用され、特に新造されたミニチュアが映像にリアリティを与えています。また、特撮の裏側が垣間見えるメイキング映像『巨神兵が東京に現われるまで』も同時に公開され、樋口監督はその意義を強調しています。

賞と評価

2013年には、VFX-JAPANアワードにおいて「CM、博展映像部門」を受賞し、評価を集めました。また、2014年には地上波で劇場版が放送され、視聴率10.0%を記録するなど、多くのファンに支持される作品となっています。

関連商品

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のBD/DVDには、特典としてこの作品が収録されています。また、作品の冒頭にはスタジオジブリのトトロのデザインが含まれるなど、バラエティーが楽しめる要素が盛り込まれています。

このように、『巨神兵東京に現わる』は、特撮技術の歴史を感じさせつつ、深い物語性と視覚的な魅力を併せ持つ作品として、多くの人々に愛され続けています。

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