市川團十郎

市川団十郎（いちかわ だんじゅうろう）

市川団十郎は、歌舞伎役者の名跡として知られ、日本の伝統芸能である歌舞伎において非常に権威ある存在です。屋号は成田屋、定紋は三升、替紋は杏葉牡丹です。また、役者文様には鎌輪ぬが使われています。この名跡は、江戸時代の元禄から現在の十三代目市川団十郎に至るまで、計13代と追贈を含む名跡です。

歴史と家系

市川団十郎家は、歌舞伎の市川流の家元であり、同時に市川一門の宗家としても知られています。その起源は、元禄の時代に遡ることができ、その後の多くの役者たちに深い影響を与えてきました。市川団十郎は、数々の名作で主役を演じ、その名声は不動のものとなりました。

この名跡の中でも特に有名なのは市川海老蔵との関係です。海老蔵は、団十郎家の重要な存在であり、古くから襲名の際に「団十郎」と「海老蔵」がお互いに関連し合って名乗られることが多く見受けられます。時代によって、團十郎が海老蔵を名乗ることもあれば、その逆もありました。特に、先代である十二代目市川団十郎と現代の海老蔵の襲名の流れは、両者の関係を強く示しています。

非業の最期

市川団十郎の名跡は、その栄光もさることながら、歴史上多くの悲劇に見舞われてきたことでも知られています。代々のうち、半数以上が非業の死を遂げたことが特徴です。初代は舞台上での刺殺事件で命を散らし、三代目は若くして病に倒れました。また、八代目は公演先での自らの手で命を絶つという悲しい結末を迎えています。こうした歴史は、歌舞伎界の中でも特に神秘的かつ重々しいものとされており、観客に深い印象を与えています。

代々の名跡

市川団十郎の名跡は、歴代の名跡の継承や変遷が非常に興味深いです。以下に、主要な代々の概要を示します。

1. 初代市川団十郎 (1660-1704年)：舞台上で刺殺される tragicな運命。
2. 二代目 (1688-1758年)：初代の長男。
3. 三代目 (1721-1742年)：二代目の養子。
4. 四代目 (1711-1778年)：二代目の養子。
5. 五代目 (1741-1804年)：四代目の子。
6. 六代目 (1778-1799年)：急死。
7. 七代目 (1791-1859年)：五代目の孫。
8. 八代目 (1823-1854年)：自殺。
9. 九代目 (1838-1903年)：七代目の五男。
10. 贈十代目 (1880-1956年)：贈られた名。
11. 十一代目 (1909-1965年)：贈十代目の養子。
12. 十二代目 (1946-2013年)：病との長い闘病。
13. 十三代目 (1977年-)：現当代。

結論

市川団十郎の名跡は、ただの歌舞伎役者の肩書きではなく、長い歴史を背景に持つ、一門の象徴ともいえる存在です。その栄光と悲劇の物語は、今もなお関係者やファンに語り継がれ、歌舞伎文化の重要な一部を成しています。

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