弓道場

弓道場とは

弓道場は、弓道や弓術を行うために特化された施設です。その設計は、弓矢という危険な道具を使用するため、安全性が重点的に考慮されています。また、弓道場には主に「近的場」と「遠的場」の2種類が存在し、それぞれ射手の距離によって距離が異なるため、特有の構造を持っています。

構成要素

弓道場の中心となるのは、射手が的を狙って弓を引く「射場」と、間には「矢道」と呼ばれる通路を挟み、反対側に位置する「的場」です。射場には高い天井が設けられ、的場に向けて開放的な構造になっています。この配置では、南向きが最も理想的で、次に東向きが良いとされています。これは、西向きでは夕日が射手の視界を妨げる可能性があり、北向きにすると的場の土盛りが日光に長時間さらされ、管理が煩雑になるからです。

射場

射場は、実際に弓を引き的を狙う場所です。射場の脇正面には審判員席があり、射手の礼儀作法や的場の様子を確認するために設けられています。また、射場の中央には神棚や日章旗が置かれる上座もあります。

射位

射位とは、射手が弓を引く具体的な位置のことです。競技に応じて、近的の場合は28メートル、遠的の場合は60メートルの距離が設定されています。射手同士の間隔は約1.5～2メートルで、一般的には6人立ての道場が多く見られますが、より広い大型道場では12人まで対応可能な場所もあります。

本座

射位から数歩下がった位置にあるのが本座で、射手が準備を整える場所です。競技中にはここで緊張感を和らげる瞬間が重要とされています。

審判席

競技の際に審査を行う審判員は、射場の右手側に設けられた審判席に座ります。これは、射手の動作や的場の状況が視認できるように配慮されています。

矢道・矢取道

矢道

射場から的場までの矢が通る中庭にあたる「矢道」は、屋根がないオープンなスペースです。地面は黒土や芝生が敷かれ、一般的に的場に向かって軽い上り勾配になっています。

矢取道

矢道の両側には矢取りのための道が設けられ、射手が矢を回収する際に利用します。この矢取道は的場に向かって左側に配置され、観客が見る際には射手の背面ではなく正面を向くことができるような設計になっています。

的場

的場は、近的のための特別なエリアであり、的を設置して射手が矢を放つ対象です。この場所には、矢を受け止めるための安土が必要です。

安土

安土は的を受け止めるための土盛りであり、主に川砂や土が使用されます。適切な傾斜で盛られた安土は、矢が的を外れた際のクッションとしての役割も果たします。これは矢を変形させないためや、的に命中した矢が貫通してしまう際の衝撃を和らげる働きを持っています。

看的所

競技中に的や安土の状態を確認する「看的所」は、サイズの異なる道具を収納するためのスペースです。

矢除板

矢が的場の屋根を越えて場外に出ないように設けられた安全装置です。これに加え、防矢ネットやアクリル板など、安全の確保に向けた様々な工夫がなされています。

付帯設備

道場の機能を補完するための設備として、夜間の照明を提供する投光器や、矢が巻藁を外した際の衝撃を和らげるための巻藁室などがあります。これにより、弓道の競技環境が整えられ、弓道に専念できる場所としての役割が果たされています。

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