当たり屋

当たり屋について

概要

「当たり屋」とは、故意に交通事故を引き起こし、損害賠償を請求しようとする犯罪者を指します。この行為は、人身事故では治療費や慰謝料、物損事故では修理費などを目的としています。さらに、こうした事故による精神的動揺を利用した詐欺行為と位置付けられます。

当たり屋は、時に共謀者と組み、第三者として現れ示談を持ちかけることもあります。保険金を目的とする場合には保険金詐欺、また治療費や修理代の要求が恐喝に該当することもあり、故意に減速して追突を誘う行為は妨害運転罪になります。ただし、交通事故の原因が故意または過失であったかを立証するのは困難で、証拠が必要です。そのため、警察による捜査は非常に慎重に行われます。

しかし、ドライブレコーダーの普及により、当たり屋の行為に関する証拠を集めることが以前よりも容易になり、その検挙も増加しています。

事例

物損事故に見せかける手口

当たり屋は、軽微な接触を装い、前もって壊しておいた物に対して弁償や修理代の請求を行うことがあります。例えば、駐車場でわざと車を軽く接触させたり、気を引くために道で故意に減速し他者の追突を誘ったりします。これに加えて、自転車が歩道で接触した場合にも同様の手法で金銭を要求するケースが見られます。

特に、イタリア北部ではドアやサイドミラーにわざと接触する事故が多発しているとの報告もあります。

人身事故に見せかける手口

人身事故では、自身が軽い怪我を負ったと主張することもありますが、もっと大がかりな場合には、自らが交通事故の犠牲者になるふりをし、入院や治療を受けて保険金を要求することがあります。これには、故意に車の前に飛び出し転倒する行為や、動いていない車に飛びついて痛がる演技をする手法が含まれます。

このような手法によって、運転者はその場で警察に届けを出さずに支払いを行うことが多く、その後、「ケガが悪化した」「警察に届けていないので当て逃げになる」といった言葉でさらに金銭を要求されるケースが多いです。このように、当たり屋の手口は巧妙であり、被害者は思わぬ苦境に陥ることがあります。

裁判の事例

2016年には、自転車を転倒させた疲れた運転者が過失運転傷害で裁判にかけられましたが、被害者の過去1年間の事故頻度が異常であることから、学者や法律家は当たり屋行為を疑い、それにより被告の運転者が無罪となる判断が下された事例もあります。これは、当たり屋行為が非常に巧妙である一方、取り締まりの手法が進化していることに示されています。

まとめ

当たり屋行為は交通社会における深刻な犯罪です。物損・人身を問わず、詐欺的手口が多様化する中で、私たちはより一層の警戒と理解をもって対処する必要があります。また、ドライブレコーダーの普及や法的対策により、こうした行為に対する社会的な対策が今後も求められるでしょう。

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