『微笑む人』について
『微笑む人』(ほほえむひと)は、日
本の
作家、
貫井徳郎による
ミステリー
小説です。この作品は、エリート銀行員である主人公が、衝撃的な理由で妻子を手にかけた事件を巡る物語です。
小説は
2012年8月18日に
実業之日[[本社]]から刊行され、その後
2015年に文庫版が発売されました。また、
2020年には
松坂桃李を主演とした
テレビドラマ化もされ、広く注目を集めました。
あらすじ
物語は、成功したエリート銀行員である仁藤俊実が妻子を殺害し逮捕されるところから始まります。彼は一見、家庭に恵まれた幸せな生活を送っているように見えますが、事件が公判へと進むにつれて彼の真実が明らかになっていきます。なぜ彼はそのような極端な選択をしたのか、事件の背後にはどのような理由が隠されているのかを、女性
小説家が探求していくのです。
登場人物
- - 仁藤俊実(にとう としみ): この物語の主人公であり、高学歴のエリート銀行員。妻子を殺害した容疑で逮捕されたが、その動機が「本が増えて家が手狭になった」とする不可解なものであり、彼の内面的な葛藤が描かれます。
- - 「私」: 小説家であり、事件をノンフィクションとしてまとめる決意を持つキャラクター。仁藤の真実を追求する過程が物語の中心となります。
- - 鴨井晶(かもい あきら): 週刊誌の女性記者で、仁藤の過去や事件の真相を掘り下げる役割を果たします。
- - 井上肇(いのうえ はじめ): 週刊誌の編集長で、かつて晶の上司である。
- - 佐藤邦男: 神奈川県の刑事で、事件に関与する。
- - 滝沢孝一: 刑務官であり、仁藤の逮捕に関わります。
- - 梶原敬二郎: 仁藤の先輩で、自らも暗い過去を抱えるキャラクター。
物語を通じて、仁藤と周囲の人物との関係が次第に明らかになり、彼の二面性が浮かび上がります。表向きは模範的な人物に見える仁藤ですが、その裏には複雑な心理や過去が潜んでいることが、周辺人物の視点から描かれます。
書誌情報
2020年3月に、
テレビ朝日系で『ドラマスペシャル 微笑む人』として放送されました。このドラマでは、究明者の視点が女性記者に変更され、仁藤事件が新たな切り口から描かれています。
松坂桃李が主演を務め、物語は視聴者の心に深い印象を与える作りとなっています。
このような背景を持つ『微笑む人』は、人間の内面的な葛藤と、表面上の生活の裏に隠された真実を描いた、読み応えのある作品です。