応援上映

応援上映とは

応援上映（おうえんじょうえい）とは、映画が上映される際に観客が自由に声を出したり、さまざまなアクションを行うことで楽しむ特別な上映スタイルのことを指します。この形式は「チアリング上映」や「絶叫上映」とも称され、観客が映画に対して能動的に参加することが許されるため、通常のシネマ鑑賞の静かな雰囲気とは大きく異なります。この新しいスタイルは、特に映画のクライマックスシーンで声援や反応を共有することにより、ともに作品の興奮を味わう楽しさを提供します。

応援上映の楽しみ

観客は劇中のセリフを唱和したり、キャラクターに対してリアクションを加えたり、さらにはコスチュームを着用して上映に臨むことも可能です。このような参加型の鑑賞スタイルは、観客同士の一体感を生み出し、その結果として映画への愛着や感動を共有する機会を増やしています。上映中に盛り上がりを見せることによって、映画体験自体が一層深く、充実したものとなるのです。

日本における応援上映の歴史

この応援上映というスタイルが日本で特に注目を集めたのは、2016年に公開されたアニメ映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』がきっかけとされています。監督が応援上映を意識して制作したことから、観客が声を出しやすい環境が整えられており、その盛り上がりがメディアでも取り上げられました。これにより、同映画を観るために多くのファンが映画館に足を運ぶようになったのです。

また、2009年に立川シネマシティで行われた『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』のスタンディング上映も、映画上映をライブに近い形で楽しむ試みとして広まりました。企画担当の遠山武志氏は、ただ映像を見るだけでなく、観客がアクションを起こすことの重要性を訴えています。

応援上映の広がりと課題

応援上映はアニメや特撮作品だけでなく、さまざまなジャンルの映画に広がりを見せています。しかし声を出すことで映画に集中したい観客との摩擦が生じることもあり、結果としてトラブルになるケースが報告されています。観客の行動やマナーが求められる場面も多く、上映側も観客に向けた情報の周知が重要です。

一方、観客同士のコミュニケーションや楽しさを強化する要素があるため、ファン同士が集まりやすい場でもあります。実際、応援上映を体験した観客たちからは、「感情を共にできた」「新しい人たちと楽しむことができた」という声が上がっており、多くの映画祭でも取り入れられるようになりました。

海外の影響

日本の応援上映の前身とされるのは、1975年に公開されたイギリスの映画『ロッキー・ホラー・ショー』です。この映画では、観客が自由にセリフを叫んだり、コスプレを楽しんだりすることが一般的で、日本でも「参加型映画の元祖」とされています。さらに、インド映画に見られる「マサラ上映」や、シング・アロング形式の上映も世界各地で行われており、日本においてもその影響を受けた形式が存在します。

現在と未来の応援上映

近年では、特に新型コロナウイルスの影響を受けて、声を出すことができない代わりに観客がアプリを通じてコメントを投稿したり、映像を見ながらスマホでのリアクションを楽しむ新たな形態も登場しています。このように、応援上映は時代と共に進化しながら、映画館での新たなエンターテインメント体験を提供し続けています。今後も多様な形式での応援上映が広がりを見せ、映画鑑賞の新たな楽しみ方として根付いていくことでしょう。

もう一度検索