思いやり予算

思いやり予算について

「思いやり予算」とは、主に日本が在日米軍駐留に関連して負担する経費のことを指します。これは防衛省の予算に含まれ、「在日米軍駐留経費負担」として広く知られていました。しかし、2021年12月には、この予算の正式な名称が「同盟強靭化予算」とされました。これは、従来の呼称が不適切であるとの見解からの変更です。

思いやり予算の背景

思いやり予算は、もともと日米地位協定の第24条に基づき、日本が支出するべき在日米軍経費の一部として始まりました。1978年に当時の防衛庁長官・金丸信が、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部を日本側が負担することを決定したことが始まりの一つです。この決定は、日本の経済成長と対米貿易黒字のため、日本が軍事面での負担を強いられることへのアメリカ側からの要請に起因します。これに対し、金丸は「思いやりの立場で対処すべき」とし、彼の提案が記者や政治家の間で「思いやり予算」として発展していきました。

最初は特別協定には含まれなかったものの、1987年から特別協定の枠組みが整備され、今ではこの予算が日本とアメリカの相互協力の一環として定着しています。この特別協定は、日本とアメリカの安全保障条約に基づいて制定されており、各年ごとに内容が見直されています。

経費の内訳

思いやり予算は、具体的には在日米軍基地での職員の労務費、光熱費や水道費、訓練移転費、さらには必要な施設の建設費など、多岐にわたります。2020年度には、約1974億円の経費が計上されたことが確認されています。なお、思いやり予算に含まれない関連経費もあり、日本政府は予算の透明性を求めています。

思いやり予算への意見

思いやり予算には賛否があります。例えば、日本共産党はこの予算の廃止を主張しており、社会民主党も以前の選挙でこの予算の削減を訴えたことがあります。一方で、経済的な理由から在日米軍の存在は日本の防衛にとって重要であるとの見解もあります。これに加え、防衛関連の経費を負担することが国際的な信頼構築にもつながるとする意見も存在します。

国際的な比較

月に、他国でも駐留米軍に対して経費を負担するケースが存在しますが、その内容や負担水準は国によって異なります。例えば、韓国では駐在米軍に対して特別協定を結び、経費の一部を負担しています。またNATO加盟国では、アメリカから核兵器を共有する国々もあり、日本とは異なる政策が採られています。

歴史的経緯

思いやり予算の歴史は、1972年の沖縄返還にさかのぼります。返還に伴う費用の日本負担が合意され、その後の様々な合意が積み重なる中で、予算や負担の内容が変遷してきました。たとえば、1991年には日本側が在日米軍基地での労働者の基本給の一部を負担する決定がなされ、2006年には協定の見直しが行われました。歴史的に、日本はこの問題に対して常に柔軟な姿勢で臨んできたと言えるでしょう。

結論

思いやり予算は、日本とアメリカの密接な関係を象徴する制度として重要な役割を果たしています。これからもこの予算がどのように変化していくのか、国内外から注目されます。日本政府は、思いやり予算を「同盟強靭化予算」とすることで、その意味合いをさらに明確にし、経費負担の透明性を高めていく方針です。

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