恋愛遊戯

「恋愛遊戯」：太田裕美のボサノバ・ナンバー

「恋愛遊戯」（れんあいゆうぎ）は、日本の女性シンガーソングライター、太田裕美によって1977年5月25日にリリースされた通算○枚目のシングルレコードです。彼女のキャリアにおいて、洗練された音楽性を追求した一曲として位置づけられています。

楽曲の特徴と制作陣

この楽曲の最大の特徴は、当時の日本の歌謡曲としては比較的新鮮だった、ボサノバのリズムを取り入れた軽やかで都会的なサウンドにあります。アコースティックギターやパーカッションが織りなす心地よいアンサンブルは、リスナーを穏やかな世界へと誘います。

楽曲の制作には、日本の音楽シーンを牽引した名クリエイターたちが集結しました。作詞は、詩的な世界観と鮮やかな言葉遣いで知られる松本隆が担当。恋愛における駆け引きや心情を繊細に描写した詞を提供しました。作曲は、数多くのヒット曲を生み出し、「和製ポップスの巨匠」とも称される筒美京平が手掛け、耳馴染みの良いながらも奥行きのあるメロディラインを創造しました。そして、編曲は萩田光雄が担当し、ボサノバのテイストを巧みに活かした、奥行きのある豊かなサウンドアレンジを施しています。松本隆と筒美京平という、後に日本の音楽史に名を刻むことになるゴールデンコンビによる作品としても注目に値します。

商業的成績

リリース当時、太田裕美は既に人気アーティストとして多くのヒット曲を持っていましたが、「恋愛遊戯」は商業的な面ではやや苦戦を強いられました。オリコンシングルチャートにおいて、週間ランキングのトップ10入りを果たすことができなかったのです。これは、1975年8月に発売され大ヒットを記録したシングル「夕焼け」以来、実に5作品ぶりにシングルがトップ10圏外となったことを意味し、それまで続いていた彼女の連続トップ10入りの記録が途絶える結果となりました。当時の音楽市場の動向や、他の楽曲との競合など、様々な要因が考えられますが、この楽曲がチャートの上位に進出できなかったことは、当時の音楽業界関係者やファンにとって、ある意味で意外な出来事であったと言えるでしょう。

シングル収録曲

本シングル盤には、「恋愛遊戯」を表題曲とするA面、そしてカップリング曲となるB面が収録されています。

A面: 恋愛遊戯
収録時間：3分41秒
作詞：松本隆
作曲：筒美京平
編曲：萩田光雄

A面タイトル曲であり、ボサノバ調のサウンドが特徴です。作詞・作曲・編曲ともに、当時の日本のトップクリエイターたちが名を連ねています。

B面: 心象風景
収録時間：3分20秒
作詞：松本隆
作曲：筒美京平
編曲：萩田光雄

カップリング曲の「心象風景」も、作詞に松本隆、作曲に筒美京平、編曲に萩田光雄という、A面と同じ制作陣によって手掛けられています。これにより、シングル全体として統一された音楽世界が表現されています。

その後の評価と関連作品

「恋愛遊戯」は、チャートアクションでは期待通りの結果を残せなかったものの、太田裕美の多才な音楽性を示す楽曲として、その後のキャリアの中で再評価される機会を得ています。この楽曲は、太田裕美のベストアルバムやコンピレーション盤に度々収録されており、現在でも容易に聴くことができます。例えば、『GOLDEN J-POP/THE BEST 太田裕美|GOLDEN J-POP_THE BEST 太田裕美』や、『GOLDEN☆BEST 太田裕美 コンプリート・シングル・コレクション』といった、彼女の代表曲を網羅した企画盤には必ずと言っていいほど収められています。

「恋愛遊戯」がリリースされた1977年は、日本の音楽シーンが多様化し、様々なジャンルの楽曲が登場した年でもあります。この楽曲は、「1977年の音楽」という文脈の中で、当時の日本のポップスが新たなサウンドを取り入れようとしていた一例として語られることがあります。

まとめ

「恋愛遊戯」は、太田裕美が1977年に発表した、ボサノバを取り入れた意欲的なシングルです。松本隆と筒美京平という強力なタッグにより制作され、萩田光雄の洗練されたアレンジが光る一曲ですが、チャート成績においては、それまでの彼女の快進撃が一時的に途絶える結果となりました。しかし、楽曲自体の持つ魅力は色褪せることなく、現在もベストアルバムなどを通じて多くの音楽ファンに聴き継がれています。太田裕美の多様な音楽的試みの一端を示す作品として、その存在は重要です。

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