悪魔の降誕祭

悪魔の降誕祭

『悪魔の降誕祭』は、著者横溝正史による中編推理小説であり、金田一耕助シリーズの一環として位置付けられています。この作品は、1958年1月号の『オール讀物』に初めて発表され、後に大幅に改稿されて大きな長さを持つことになりました。現在、角川文庫に収録されています。

概要

本作の物語は、1957年12月20日に始まります。私立探偵である金田一耕助は、等々力警部から持ち込まれた事件に関与するため出かけようとしたところ、小山順子名義の女性から相談の電話を受けます。金田一は警部の案件を優先し、彼女に夜の9時までに緑ヶ丘荘に来るよう伝えました。しかし、9時に戻ると、待っていたのは女性の死体でした。彼女は鳶色のスーツを着ており、名前は偽名で本名は志賀葉子であると判明します。更には彼女がジャズ・シンガー関口たまきのマネージャーであったことも明らかになります。

事件の進展

調査が進むにつれ、彼女のバッグからは新聞記事の切り抜きが見つかり、関口たまきとその夫、ピアニストや他の関係者が写った写真が出てきます。また、彼女の死因は青酸カリによる毒殺であることも分かります。さらに、若干の時系列が示唆される中、彼女の前に同じ方法で死んでいた服部徹也の前妻、可奈子の存在も浮かび上がります。

物語は25日、服部夫妻の新居披露パーティーの最中に、徹也が殺害されるという衝撃の展開を迎えます。彼の死は、たまきと道明寺修二によって発見され、徹也の娘由紀子や女中の証言により、彼らが犯行を行う時間的余裕がなかったことが判明します。その結果、捜査は行き詰まり、捜査陣は新たな手掛かりを失ってしまいます。

結末と解明

物語は、約一カ月後の1月下旬、そこでの婚約披露の席で再び悲劇的な結末を迎えることになります。この宴の場において、これまでの事件が一気に解決を見せます。特に原型短編から加筆された部分では、登場人物の行動がより具体的に描かれており、金田一の推理がどのように行われるかを深く掘り下げています。

主な登場人物

『悪魔の降誕祭』には、多彩なキャラクターが揃い、物語に多層的な深みを与えています。金田一耕助を筆頭に、等々力警部、関口たまき、そして道明寺修二など、各キャラクターが事件に絡み合い、推理劇を盛り上げています。

この作品は、推理小説の愛好者や金田一シリーズのファンにとって、必読の一作と言えるでしょう。緊迫したストーリー展開と多様な人間ドラマが絡むことで、読む者を引き込み、最後まで目が離せない作品になっています。

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