成瀬ダム

成瀬ダムについて

成瀬ダム（なるせダム）は、秋田県雄勝郡東成瀬村の成瀬川に位置し、現在も建設が進んでいる多目的ダムです。このダムは、1987年および1994年に成瀬川で発生した洪水被害や、流域における農業用水および生活用水の不足を解消するための対策として設計されています。また、水力発電の機能も備えており、地域にとって重要な役割を果たすことが期待されています。ダム本体はCSG（Cemented Sand and Gravel）法に基づいて構築され、高さは114.5m、総貯水容量は7,850万立方メートルです。1983年に着工され、2022年に完工が予定されていました。

歴史的背景

成瀬ダムの計画は、1973年に秋田県が予備調査を始めたことから始まります。その後、1991年度から東北地方整備局による直轄施工へと移行しましたが、このプロジェクトには反対運動が起こりました。反対運動の理由としては、環境への影響や過疎化による水利利用者の減少が挙げられました。特に2009年には、民主党政権が誕生し、公共事業の見直しが進められる中、成瀬ダムもその対象となりました。国土交通省による費用対効果の分析が行われた結果、成瀬ダムの継続が妥当とされましたが、同年の10月に国土交通大臣が未着工のダムは建設しない方針を示し、一時的に工事が中止となりました。その後、2012年1月には建設が再開されることとなりました。

法的な争い

ダム建設に反対する市民団体は、下流の横手市が支出しているダム建設負担金に対する公金支出の差し止めを求めて訴訟を起こしましたが、2016年10月13日、秋田地方裁判所はこの訴えを「建設費負担金の支出は適法」とし、原告側の要求を退けました。その後、抗議グループは仙台高等裁判所に控訴しましたが、2017年4月26日にその控訴も棄却されました。

火山災害と成瀬ダム

2014年には御嶽山の噴火事件があり、多くの人々が犠牲となりました。この事件を受け、国内では2025年に関連法改正が行われ、関係自治体に防災協議会の設置と避難体制の整備が義務付けられることとなりました。成瀬ダムの上流に位置する栗駒山についても、2016年に火山防災協議会が設立され、ハザードマップや避難計画が策定されました。その結果、秋田県側においても広範囲にわたる被害の可能性があることが判明し、成瀬ダムの立地においても泥流が到達する危険が示されています。

まとめ

成瀬ダムは、雄勝郡の水資源や洪水対策に大きな影響を及ぼすと期待されている重要なインフラです。しかし、建設に関わるさまざまな歴史的な経緯や法的な問題、さらには自然災害への備えについても十分な議論が必要でしょう。このダムの今後の運営と地域への影響が注目されます。

もう一度検索