戦闘城塞マスラヲ

戦闘城塞マスラヲ - 世界を揺るがす聖魔杯の戦いが始まる

林トモアキによるライトノベル『戦闘城塞マスラヲ』は、『お・り・が・み』の続編として、2006年から2009年にかけて全5巻が刊行されました。上田夢人によるイラストも魅力的な本作は、「天界クロニクル」シリーズの一環として、他の作品と世界観を共有しています。

物語の舞台は、『お・り・が・み』から5年後。主人公は、無職で引きこもりの青年・川村ヒデオです。彼は、殺人鬼を彷彿とさせる鋭い目つきと、いかつい顔立ちから、街を歩くだけで職務質問を受けるほど。しかし、その実態は気弱で真面目な20歳の青年です。就職活動で34社全てに不採用となり、精神的に追い詰められたヒデオは、自殺を図ろうとした矢先、謎のウイルス「Will.CO21（ウィル子）」に感染したパソコンを拾います。この出会いが、彼の人生を大きく変える転機となります。

ウィル子と共に、世界を律する権利と「聖魔王」の称号を懸けた武闘大会「聖魔杯」に参加することになったヒデオ。大会には、人間だけでなく、魔人、精霊、宇宙人など様々な種族の参加者が集まります。ヒデオは、対人恐怖症で体力も弱く、無気力な性格ながらも、持ち前の機転とハッタリで幾度も窮地を脱していきます。

大会では、優勝候補を破ったり、借金王になったり、殺されかけたりと、波乱万丈な日々を送るヒデオ。彼の鋭い目つきは「未来視の魔眼」と噂されるようになりますが、真実はそうではありません。しかし、彼の行動は、周囲の人々に大きな影響を与えていきます。

ヒデオのパートナーであるウィル子は、超愉快型極悪感染ウィルスと名乗る電子の精霊。アイドルのような容姿で人を騙し、人命より食欲を優先する極悪な一面も持ちますが、ヒデオとの絆を深めていきます。ウィル子は、ヒデオとリンクすることでテレパシーによる意思疎通を行い、ヒデオの感情を読み取ることも可能です。

大会には、ヒデオ以外にも様々な個性豊かなキャラクターが登場します。正義感の強い警察官・北大路美奈子、美奈子の武器である憑依武器・岡丸、ヒデオをライバル視する青年・リュータ・サリンジャーとそのパートナーである魔族・エルシア、元勇者・長谷部翔希とそのパートナーであるミスリル銀の精霊・エリーゼなど、彼らとの出会いと別れを通してヒデオは成長していきます。

聖魔杯の裏側では、魔人組織「アルハザン」が暗躍しています。アルハザンは、アーチェス・アルザンテをリーダーとする組織で、世界の支配を企んでいます。ヒデオは、アルハザンの陰謀に巻き込まれながらも、仲間たちと共に、世界の運命を賭けた戦いを繰り広げます。

物語は、ヒデオの成長と葛藤、仲間との絆、そして世界の未来をテーマに描かれています。聖魔杯での戦いを経て、ヒデオは「真の未来視の魔眼」を演じることで、世界を救うことになるのですが、その代償として、彼は消滅してしまいます。しかし、暗黒神によって復活を遂げ、二代目聖魔王「魔眼王」と呼ばれることになります。

最終的に、ヒデオは聖魔王の称号を辞退し、社会生活に適応しようとしますが、就職活動は再び失敗に終わります。それでも、彼は前を向き、新たな人生を歩み始めるのです。

『戦闘城塞マスラヲ』は、魅力的なキャラクター、スリリングな展開、そして深いテーマが融合した、傑作ライトノベルです。2023年には、TROYCAとグラフィニカによるアニメーションPVも公開され、新たなファンを獲得しています。

主要登場人物

川村ヒデオ: 主人公。引きこもり青年。
ウィル子(Will.CO21): ヒデオのパートナー。電子の精霊。
北大路美奈子: 正義感の強い警察官。
岡丸: 美奈子の武器兼パートナー。憑依武器。
リュータ・サリンジャー: ヒデオのライバル。元対魔組織員。
エルシア: リュータのパートナー。魔族。
長谷部翔希: 元勇者。
エリーゼ・ミスリライト: 翔希のパートナー。ミスリル銀の精霊。
リリー・オブ・バレイ(鈴蘭): 初代聖魔王。
みーこ: 鈴蘭のパートナー。食欲魔人。
* アーチェス・アルザンテ: 魔人組織アルハザンの団長。

そして、その他多くの個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。彼らの活躍と、ヒデオの成長を見逃すことなく、ぜひ『戦闘城塞マスラヲ』の世界へ飛び込んでみてください。

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