手島悠介

手島悠介：子どもたちの心を捉えた児童文学作家

手島悠介（てしま ゆうすけ、1935年 - 2020年）は、日本を代表する絵本作家、児童文学作家の一人です。1935年、台湾高雄市に生まれ、11歳で東京へ移り住みました。学習院大学文学部哲学科を中退後、雑誌記者や工芸デザインの仕事などを経て、1970年、ヒロシマを題材とした『かべにきえる少年』で学研児童文学賞に入選。これがきっかけとなり、作家としての道を歩み始めました。

1972年、岩崎書店から出版された『手紙になったリンゴ』で作家デビューを果たすと、その後『ふしぎなかぎばあさん』（1976年、岩崎書店）、『がんばれ!盲導犬サーブ』（1983年、講談社）など、数々の作品を発表し、子どもたちから絶大な人気を集めました。

手島悠介の作品は、戦争や社会問題、動物など、幅広いテーマを扱っていることが特徴です。例えば、『二十八年目の卒業式』では、太平洋戦争末期の東京大空襲を生き抜いた子どもたちの体験を、戦後生まれの娘の視点も交えて描き、戦争の悲惨さと平和の大切さを訴えています。また、『かべにきえる少年』では、原爆によって生じた影を題材に、平和への願いをミステリアスなタッチで表現しています。

『ふしぎなかぎばあさん』シリーズは、子どもたちの良き理解者である「かぎばあさん」が、様々な問題を解決していく物語です。全20冊に及ぶシリーズは、長年にわたって愛され続け、英語版や電子書籍版も出版されています。シリーズの中でも、『かぎばあさんアメリカへいく』は、1990年に第14回日本児童文芸家協会賞を受賞しました。

『がんばれ!盲導犬サーブ』は、盲導犬サーブの献身的な姿を描いた作品です。サーブが交通事故で重傷を負いながらも飼い主を守った感動的なエピソードは、多くの人々の心を打ち、NHKアニメ化やTBSテレビドラマ化もされました。この作品は、盲導犬の働きや動物との絆について考えるきっかけを与えてくれます。

その他にも、『日本のみなさんやさしさをありがとう』（2000年、講談社）、『裁判とふしぎなねこ』（2005年、学習研究社）などが産経児童出版文化賞に推薦され、『飛べ!千羽づる─ヒロシマの少女 佐々木禎子さんの記録』は共同映画化、映画化、TBSテレビドラマ化されるなど、多くの作品が映像化され、幅広い世代に手島悠介の作品世界が届けられました。

手島悠介は、自身の作品を通じて、子どもたちに生きる勇気や希望を与え続けました。戦争の悲惨さや社会問題、動物との絆など、様々なテーマを優しく、そして力強く描き出した作品は、これからも多くの子どもたちの心に残っていくことでしょう。

また、児童書毎日小学生新聞児童小説選考委員、盲導犬サーブ文学賞選考委員などを歴任し、小川未明文学賞選考委員、小川未明文学賞委員会会長も務めるなど、児童文学界に多大な貢献をしました。2020年3月17日、85歳で逝去されました。

手島悠介の作品リストには、以下の作品が含まれますが、これは全てではありません。

代表作：『二十八年目の卒業式』、『かべにきえる少年』、『ふしぎなかぎばあさん』シリーズ、『がんばれ!盲導犬サーブ』、『日本のみなさんやさしさをありがとう』、『裁判とふしぎなねこ』、『飛べ!千羽づる』など
その他多数の作品

手島悠介の作品は、現在も多くの出版社から出版され、子供たちの読書体験を豊かにしています。彼の功績は、今後も児童文学界に大きな影響を与え続けるでしょう。

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