投票用紙

投票用紙について

投票用紙（とうひょうようし）とは、選挙で使用される正式な用紙のことです。日本では、不正を防ぐために、選挙人は特定の様式に合った投票用紙を使用する必要があります。これを「投票用紙官給主義」または「公給主義」と呼び、私製の用紙を使用することは禁止されています。基本的に、選挙人は自分自身で投票所に出向き、票を記入し投票箱に投函する必要があります。この過程は「現場自書主義」として知られています。

投票用紙の使用方法と特徴

多くの日本人は投票用紙を他人に見られたくないという心理から、投票用紙を二つ折りにして投票します。しかしこれによって、開票作業時に投票箱から用紙を一枚一枚開く作業が難航し、全体の約三分の一を要することが問題視されていました。

この課題を解決するため、1986年にユポ・コーポレーションとムサシが共同で「テラック投票用紙BPコート110」という特殊な投票用紙を開発しました。この用紙は、折り畳んでも自然に開く特性を持ちます。

最初の頃は、鉛筆での記入が難しい点が課題となっていましたが、用紙には特殊コーティングが施され、鉛筆で書きやすくなっています。公職選挙法では筆記用具に関する規定がないため、選挙管理委員会では通常2B程度の黒鉛筆が用意されています。最悪の場合、鉛筆が折れた時のために手動式の削り器なども設置されていますが、持参したペンを使う場合はインクの滲みから無効票になるリスクがあります。

投票用紙の歴史と導入

この特殊な投票用紙は、1986年に行われた知事選と1989年の国政選挙で初めて使用され、2012年以降は全47都道府県で広く使われるようになりました。また、この投票用紙は不在者[[投票制度]]でも利用されており、折って封筒に入れると元に戻りにくい特性があるため、選挙管理委員会は対策として封筒のサイズを大きくしています。

公職選挙法第68条によって、文書上の投票用紙官給主義が定められており、それに従わない場合、無効票となります。特に国政選挙において、選挙区や比例区の用紙を間違えて交付される事例もあり、無効票になる可能性が高まると報道されています。

投票用紙の保管と法的規定

選挙後の投票用紙は、決められた期間まで保管する必要があります。具体的には、公職選挙の用紙は公職の任期中、リコールの用紙は解散投票の結果が確定するまで、住民投票に関する用紙は賛否の結果が確定するまで保管されます。さらに、最高裁判所裁判官国民審査の投票用紙は開票後10年間の保管が義務付けられています。

投票用紙は日本の選挙システムの中で非常に重要な役割を果たしており、その取り扱いや法的な規定は厳格で、国民の選挙権を保障するために設計されています。

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