抱き合わせ商法

抱き合わせ商法：人気商品と不人気商品の組み合わせ販売

抱き合わせ商法とは、消費者が欲しがる商品（主たる商品）と、そうでない商品（従たる商品）をセットにして販売する手法です。多くの場合、需要の高い人気商品に需要の低い不人気商品を組み合わせることで、不人気商品の販売促進を図ります。消費者は人気商品を手に入れるために、不人気商品も購入せざるを得ない状況に置かれるため、消費者にとって必ずしも好ましい販売方法とは言えません。

抱き合わせ商法のメカニズム

この商法は、需要の高い商品をテコに、需要の低い商品の販売を促進する狙いがあります。例えば、新発売の人気ゲームソフトに、売れ残っている旧作ゲームソフトをセットで販売するといったケースが考えられます。消費者は人気商品を手に入れるためには、不人気商品も購入しなければならず、結果的に不人気商品の販売数増加につながります。しかし、消費者の自由な選択を制限する側面があるため、問題視されるケースも多いです。

法律上の問題点

抱き合わせ商法は、自由かつ公正な競争を阻害する可能性があります。特に、市場における支配的な地位を持つ企業が、この手法を用いて競合他社の排除を図る場合、独占禁止法違反となる可能性があります。日本においては、このような行為は『私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律』（独占禁止法）第19条に違反する可能性があり、公正取引委員会による調査や是正勧告の対象となる場合があります。

合法的な抱き合わせ販売

すべての抱き合わせ販売が違法というわけではありません。以下のケースは、一般的に違法とみなされません。

個別の購入が可能である場合: 消費者が主たる商品と従たる商品を個別に購入できる選択肢があれば、抱き合わせ商法に該当しません。
商品同士が密接に関連している場合: レンタカーと保険、パソコンとOS、ドラムセットなど、商品同士が密接に関連しており、個別に購入することが現実的ではない場合も例外となります。これらの場合、セット販売は商品の性質上、当然のこととみなされます。
単体では販売されない商品の場合: 自動車用タイヤ4本セット、ダーツの矢3本セットなど、一般的に複数個セットで販売される商品は、抱き合わせ商法に該当しません。
おまけが付いている場合: 音楽CDに握手券が付いているようなケースも、通常のおまけとみなされ、抱き合わせ商法には該当しません。

不当な抱き合わせ販売の事例

過去には、様々な業界で不当な抱き合わせ販売が問題視されてきました。以下に例を挙げます。

ゲームソフトの抱き合わせ販売: 人気ゲームソフトの品薄状態を利用し、不人気ソフトと抱き合わせて販売する事例がありました。
OSとソフトウェアの抱き合わせ販売: OSに特定のソフトウェアをプリインストールし、個別の購入を困難にする事例は、過去に公正取引委員会から勧告を受けたことがあります。
パチンコ業界での抱き合わせ販売: 人気機種の導入を条件に不人気機種の購入を強いる事例がありました。
マスクの抱き合わせ販売: 新型コロナウイルス感染拡大時、マスクの入手困難な状況を利用し、マスクと他の商品をセットで販売する事例がありました。

まとめ

抱き合わせ商法は、消費者の自由な選択を制限し、公正な競争を阻害する可能性のある商法です。しかし、全ての抱き合わせ販売が違法というわけではありません。個別の購入が可能である場合や、商品が密接に関連している場合は、違法とはみなされません。企業は、抱き合わせ商法を行う際には、独占禁止法に抵触しないよう十分に注意する必要があります。

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