押野見邦英

押野見邦英（おしのみ くにひで）氏は、1941年生まれの日本の建築家で、主に鹿島建設設計部において活躍しました。

そのキャリアは、横浜国立大学卒業という堅実な基盤の上に築かれています。大学在学中には、デザイン学校にも通い、建築設計への並々ならぬ情熱を培っていました。1965年、大学卒業と同時に母校の助手として勤務した後、鹿島建設に入社。以降、同社の発展に大きく貢献することになります。

若くして才能を発揮した事例として、1969年の最高裁判所設計競技が挙げられます。岡田新一氏率いるチームにおいてチーフデザイナーとして手腕を発揮し、チームの一等当選に大きく貢献しました。この経験は、押野見氏の建築家としてのキャリアに確固たる自信と実績をもたらしたことは間違いありません。

鹿島建設在籍中には、数多くの重要な建築プロジェクトを手掛けました。その作品群は、押野見氏の幅広いデザインセンスと高い建築技術を如実に示しています。主な作品としては、1972年に完成した愛知医科大学舎、1974年の大正製薬総合研究所、1978年の八重洲ブックセンターなどが挙げられます。

これらの作品は、いずれも時代を反映したデザインと機能性を兼ね備え、高い評価を受けています。特に八重洲ブックセンターは、洗練された空間デザインと、書籍を閲覧しやすい工夫が施された点が評価され、現在も多くの利用者に親しまれています。

さらに、1983年の「囲いの家」や1985年のタグボート・ビル、赤坂ノアビルなども、押野見氏の代表作として知られています。これらの作品は、それぞれ異なるコンセプトとデザインアプローチを採用しながらも、押野見氏の建築家としての独自性とこだわりが感じられるものとなっています。

近年では、青海１丁目パレットタウン内にあるhhstyle.com/sleepも手掛け、時代の変化に合わせた新しい建築デザインにも挑戦しています。この作品は、現代的な感性と機能性を融合させた、押野見氏ならではの建築空間と言えるでしょう。

押野見邦英氏の建築作品は、単なる建造物にとどまらず、人々の生活や社会に貢献する空間を創造するという理念が強く反映されています。大学時代の基礎教育、そして鹿島建設での実践経験を通して培われた高い技術力とデザインセンス、そして建築に対する情熱は、多くの建築物を通して現代社会に貢献し続けているのです。

参考文献
鹿島建設の歩み 人が事業であった頃, 小野一成著, 1989,
鹿島建設 百四十年の歩み, 鹿島建設社史編纂委員会編,1980, 鹿島建設,

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