新木場車両基地

新木場車両基地

新木場車両基地は、東京都江東区に位置する東京メトロの車両基地および車両工場の総称です。具体的には、和光検車区新木場分室と新木場CR（カーリニューアル）で構成されています。最寄り駅は新木場駅です。

和光検車区新木場分室

概要

新木場分室は、1988年4月に新木場検車区準備事務所として発足し、翌月に正式な検車区となりました。2009年4月には組織再編により和光検車区に統合され、現在の和光検車区新木場分室となっています。

主に有楽町線の車両が留置されていますが、隣接する新木場CRへの入出場のため、東西線、千代田線、半蔵門線、南北線の車両も入区します。主な業務内容は、列車検査、簡易修繕、車両故障対応、自動洗浄機による車体洗浄です。

土地取得の経緯

車両基地の用地は元々、東京都港湾局が所有していました。営団地下鉄は港湾局からの借地ではなく土地買収を強く希望し、1982年3月から1983年4月にかけて約151億1400万円で取得しました。

土地売買契約には、以下の特約が付帯していました。

公有水面埋立法による処分制限登記
用途指定（20年間）
業務開始日の指定（昭和62年4月1日）
買戻特約付売買（契約の日から10日間）
車庫用地内横断歩道橋の設置
土地利用計画の事前承認

将来計画と地盤対策

当車両基地は、有楽町線だけでなく、将来の豊洲分岐線や半蔵門線との接続も考慮した上で、10両編成42本（420両）を収容できる規模で計画されました。

用地は軟弱地盤地帯であり、地盤沈下が懸念されました。そのため、営団地下鉄の工事で発生した残土約20万立方メートルを搬入し、盛り土とプレロード工法によって地盤を強化しました。

施設概要

敷地面積: 約142,851平方メートル
車両留置能力: 110両（将来420両）
建設費用: 総額203億7300万円

沿革

1983年5月: 新木場車両基地用地買収完了
1988年4月5日: 新木場検車区準備事務所発足
1988年5月23日: 新木場検車区として正式に発足
1990年2月: 新木場CR建設開始
1991年12月16日: 新木場CR開設
2009年4月1日: 和光検車区に組織統合、和光検車区新木場分室となる
2010年3月1日: 新木場分室内に留置線を3線増線

新木場CR（カーリニューアル）

当初は綾瀬検車区内に更新修繕場を建設する計画でしたが、車両増備に伴い、新木場車両基地内に建設されました。1991年12月16日から稼働しています。

日比谷線や東西線を含む、千代田線以降の車両の改良工事も考慮されており、車両冷房工事や更新工事の年間施工能力は平均150両程度です。

主な業務内容

千代田線6000系、有楽町線7000系、半蔵門線8000系の制御装置VVVFインバータ制御化工事
全路線の車両の車輪嵌替

大規模改修工事はメトロ車両が受託し、協力会社の宮脇車輌工業や手塚車輌工業などに委託されています。

入換車

過去には、東西線で使用されていた5000系や千代田線の5000系が、入換車として使用されていました。現在は入換車は存在していません。

総合研修訓練センター

2016年4月1日に、各地に点在していた訓練施設を統合集約し、新木場車両基地内に開設されました。

実際の駅と同様の模擬駅や訓練用橋梁が設置され、研修棟には各種機器や鉄道シミュレーターが完備されています。安全繋想館には、過去に発生した重大事故に関する資料が収蔵・展示されています。

訓練線

総延長700メートルの訓練線は、営業路線に準じた設備を備えた東京メトロ初の訓練施設です。模擬駅には駅ナンバリングやラインカラーも設定されています。

千代田線北綾瀬支線用の05系電車や、かつて同支線で使用されていた6000系電車1次試作車が訓練に使用されています。

引き込み線と回送経路

新木場車両基地は新木場駅から1.75km離れており、複線の引き込み線で接続されています。この引き込み線は新木場駅折り返し列車の引き上げ線としても使用されます。

有楽町線以外の車両の主な回送経路は以下の通りです。

千代田線: 綾瀬検車区 - 霞ケ関 - （短絡線） - 桜田門 - 新木場
南北線: 王子検車区 - 市ケ谷短絡線 - 新木場
* 半蔵門線: 鷺沼検車区 - （田園都市線）- 二子玉川 - （大井町線） - 大岡山 - （目黒線） - 目黒 - （南北線） - 市ケ谷短絡線 - 新木場

イベント

過去には、新木場車両基地で撮影会などのイベントが開催されたことがあります。

もう一度検索