日本ファクトチェックセンター

日本ファクトチェックセンター（JFC）について

日本ファクトチェックセンター（JFC）は、2022年10月に設立された非営利の機関で、インターネット上で流通する誤情報や偽情報に対処することを目的としています。このセンターは、ヤフーや他のネット関連企業によって構成される一般社団法人セーファーインターネット協会（SIA）が設立しました。JFCの活動は、SNSやその他の媒体を通じて広まる真偽不明の情報による社会的混乱を防ぐため、信頼できる有識者やファクトチェッカーによる事実確認を重視しています。

設立の背景

日本ファクトチェックセンターの設立の嚆矢は、2020年に実施された総務省の「プラットフォームサービスに関する研究会」です。この研究会で提示された報告書は、インターネット上の誤情報・偽情報問題に対して法規制ではなく、民間の取り組みが重要であると指摘しました。その後、SIA内に「Disinformation対策フォーラム」が設立され、偽情報対策に向けた活動が展開されていきました。

2022年に、2年近くの議論を経て、JFCが設立されました。この新たな機関はネット上の不確かな情報を中心にファクトチェックを行い、結果や検証過程を公にすることで、情報の透明性を図っています。特に、新型コロナウイルスやワクチンに関する誤情報の検証が多く行われています。

活動資金と運営体制

日本ファクトチェックセンターは、独立した位置を保つために、基本的に寄付金によって運営されています。初期資金は、Google.orgから最大150万ドル、Yahoo!から2000万円が提供されました。今後もプラットフォーマーや情報通信業界からの支援を受けつつ、広告収入や有料化は行わないとされています。

運営体制は「監査委員会」「運営委員会」「編集部」から構成され、特に監査委員会は運営全体の適正性や利益相反をチェックします。運営委員会は法学の専門家が中心となっており、ガイドライン作成や運営状況の監督、本質的なファクトチェックの効果を評価します。ファクトチェックを行う編集部は、大学生やリサーチチームが協力し、元新聞記者が監修を行っています。

判定基準と透明性

JFCのファクトチェックでは、情報の真偽を5つの基準に沿って評価します。これには「正確」「ほぼ正確」「根拠不明」「不正確」「誤り」といった判断基準が含まれます。このような透明性の高い検証手法を採ることで、信頼できる情報を提供したいと考えています。また、オープンソース取材法（OSINT）を活用して、情報の検証に役立つツールや手法も紹介しています。

批判と対応

日本ファクトチェックセンターは、報道機関を原則的に対象外としていることから批判を受けることもあります。特に、影響力のあるマスメディアとのファクトチェック比較が行えないことに対し疑問が呈されており、運営委員会はその理由を説明しています。さらに、主要な編集者に朝日新聞社出身者が多いことについても偏りが指摘され、今後の多様な人材の確保への期待が寄せられています。

一方で、JFCは誤情報に対する取組みを広めることと同時に、インターネットの自由な情報発信を尊重する姿勢も示しています。事実確認が行われることで、ユーザーによる情報発信が萎縮しないよう、常に配慮が必要であると考えています。今後も、ますます情報が流れるデジタル時代において、JFCの存在価値は高まることでしょう。

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