明正

明正（めいせい）とは

明正（めいせい）は、中国明代に存在したとされる私年号の一つです。1511年に、曹甫（そうほ）という人物が順天王（じゅんてんおう）を自称した際に使用したという説があります。しかし、この元号は正史には記録されておらず、その実在を巡って研究者の間で意見が分かれています。

歴史的背景

1511年当時、明朝は正徳帝の治世下にありましたが、政治的な混乱も生じていました。曹甫が順天王を称した背景には、こうした社会情勢が影響していた可能性があります。しかし、彼の勢力は小規模にとどまり、明朝に反旗を翻すほどの影響力はなかったと考えられています。

史料における扱い

中国の歴代王朝の歴史を記した『明史』や、明代の歴史をまとめた『明紀』といった正史には、「明正」という元号の記載は一切ありません。また、地方史である『江津県志』にも言及がないことから、この元号が公式なものではなく、あくまで曹甫一派が使用した私的な元号であった可能性が高いと考えられています。

研究者の見解

中国の歴史学者である李崇智（りすうち）は、自身の著書『中国歴代年号考』において、明正の項を設け、この元号について考察しています。しかし、前述のように、『明史』などの史料に記載がないことを指摘し、その実在を断定することには慎重な姿勢を示しています。

また、鄧洪波（とうこうは）も、その著書『東亜歴史年表』において、明正という元号には言及していません。このことは、明正が一般的な歴史認識として定着していないことを示唆しています。

結論

「明正」は、明代に曹甫が用いたとされる私年号ですが、正史に記述がなく、その実在は確定していません。この元号は、歴史の表舞台に立つことなく、一部の地域、あるいは一部の勢力によってのみ用いられた可能性が高いと考えられます。

参考資料

李兆洛『紀元編』
李崇智 『中国歴代年号考』（北京：中華書局，2001年1月） 215ページ。ISBN 7101025129。
* 鄧洪波編《東亜歴史年表》（台北：台湾大学出版中心, 2005年3月） 234,235ページ。ISBN 9860005184。

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